2011年12月21日水曜日

ウィニー開発者の無罪確定へ 最高裁、検察の上告棄却

インターネットを通じて映像や音楽を共有するソフト「ウィニー」を開発し、著作権法違反の幇助(ほうじょ)罪に問われた元東京大大学院助手・金子勇被告(41)の上告審で、最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は、有罪を求めていた検察側の上告を棄却する決定をした。19日付。無罪とした二審判決が確定する。
金子元助手は2002年5月、自ら開発したウィニーをインターネットで公開。03年9月、松山市の無職少年(当時19)ら2人=著作権法違反の罪で有罪=がウィニーでゲームソフトや映画をダウンロードし、不特定多数へ送信できるように手助けした、として起訴された。
06年12月の一審・京都地裁判決は「著作権者の利益が侵害されるのを認識しながら、ウィニーの提供を続けていた」として罰金150万円の有罪とした。一方、09年10月の二審・大阪高裁判決は「著作権侵害が起こると認識していたことは認められるが、ソフトを提供する際、違法行為を勧めたわけではない」として、無罪としていた。(asahi.com2011年12月20日17時12分 写真も)

警察や検察は、犯罪者を作ることが目的ではないはずです。
これが有罪になるとすると、技術開発へのモティベーションをくじくことにもなりかねません。
技術自体には善悪はないのです。

話はちょっと違いますが、医療過誤で産婦人科医を逮捕した後、産婦人科医が激減し、出産難民が発生しました。
証拠隠滅のおそれも逃亡のおそれもなかったのに逮捕したものだから、日夜リスクを背負いながら激務をこなすお医者さんの中には、これでは続けられない、という危惧が広がったのでしょう。

もちろん警察官や検察官の大半は、社会秩序を守るために働いているのですが、中に功名心に駆られる人がいると、時に行き過ぎが発生します。

そういえば、庶民感情も「他罰的」になっていたり、さらに「厳罰化」傾向があるようにも感じます。

いざという時に自分にはね返ってくるかもしれない問題です。

「汝らのうち、まず罪なき者のみ、あの女を石もて打て」(ヨハネ伝福音書8章7節)

人を責める前に、まず自らを省みるようにしたいものです。難しいけど。


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2011年12月17日土曜日

冷温停止状態とは?

新しい言葉や、難しい言葉を使う場合、その言葉をどういう意味で使うのか、という定義が分からなければ、その言葉の意味は分かりません。

日本政府は、「冷温停止状態」を通常運転の際の定義と同じ言葉であるにもかかわらず、無理矢理違う定義をし、言葉だけで、事態が解決に向っているような印象を与えようとしています。

しかし、いまだに原子炉内部の正確な状況も不明なのに、外部からの表面的な観測数値で「冷温停止状態」と言ってしまっていいのでしょうか。

ことは原発事故であり、放射性セシウムなどの放射性物質は危険な上になかなか自然消滅しないのですから。

目をつぶってしまったらといって、そこにあるものがなくなるわけではないのに。

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2011年11月29日火曜日

「白い恋人」が「面白い恋人」を提訴

(写真はasahi.com2011年11月29日)

以前ネタにした「面白い恋人」、訴訟になったそうです。
2月3日の日記

やはり商標法単独でなく、不正競争防止法を絡めてきましたね。

さて、どうなることやら、というか、
吉本興業側が無理に突っ張らない限り和解になるのでしょうが。

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2011年11月28日月曜日

弁理士試験答練答案の「古典的文体」


弁理士試験の答案練習会の添削を少しやっています。

今年の合格者の平均年齢が36.5歳であることから考えて、答練参加者の大半はお若い方だと思うのですが、たいへん気になることがあります。

それは答案の文体なのですが、一つの長い文章に、いろいろと盛り込んでいっぺんにやっつけようとするせいで、文章の中で論旨が混乱したり、要件が不十分であったりするのです。

そういう文体についての的確な表現を、浅田次郎著「極道界」の中から見つけました。

「(前略)文節が終わりそうになると無理矢理接続詞をねじ込んで、いたずらに文章を長くする。(中略)このような難解な長文体というものは文章学的に言えば、すでに大正時代の前半に消えて無くなったはずの、古典的文体なのであります。(後略)」

これは、警察及び刑事裁判関係の文書について述べられているものです。
つまり逮捕状、供述調書、起訴状、判決文主文などです。

1980年代末に書かれた文章ですが、その時点で「文章感覚は最低70年ぐらいおくれている」とされています。

弁理士試験受験生の皆様には、くれぐれもそのような文体を避けてほしいと思います。
1文を短く、改行を多くして、シンプルで読みやすい答案を心がけてください。

答練の添削者が読みづらいということは、本試験の採点官にとっても読みづらいのです。

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2011年11月11日金曜日

オリンパス

オリンパス株が監視銘柄になり、上場廃止が現実味を帯びてきました。

しかし、今回の問題の原因となった投機的な失敗を別にすれば、医療分野などで高い技術力を持ち、日本にとって大事な企業の一つです。

部門ごとに切り売りされてしまうことがないといいんですが。

日本国内に丸ごと買える会社がなければ、一時的に国有化してもいいぐらいの会社だと思うんですが……。

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2011年10月26日水曜日

テプラ発明対価、社員らが会社に勝訴で確定

 「テプラ」などの商品名で知られるラベルライターに関する発明を巡り、電気機械器具製造大手「ブラザー工業」(名古屋市)の社員と元社員が同社に計4億円の発明対価を求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(竹内行夫裁判長)は原告、被告双方の上告を退ける決定をした。
 決定は24日付。2人に計約5600万円を支払うよう命じた2審・知財高裁判決が確定した。
 問題となったのは、ラベルに印字した文字をラミネート加工で保護し、シールにする発明。1審・東京地裁は計約3700万円の支払いを命じたが、2審は「他社製品との差別化をはかるうえで重要な発明だ」などとして増額した。
 決定を受け、原告のブラザー工業社員結城英治さん(49)と元社員酒井隆司さん(51)は、名古屋市内で記者会見。結城さんは「従業員らが積極的に仕事ができるような機運を高める一つの事例を作れた」と笑顔で語った。一方、ブラザー工業は「残念だが、決定に従いたい」とコメントした。
2011年10月26日09時28分  読売新聞YOMIURI ONLINE)
 
 テプラは私も愛用しています。
 
 どこかのめちゃくちゃ高額な判決(後に和解、でも結構高額)を思い出しましたが、それに比べれば妥当な線ではないかと思います。
 
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2011年10月10日月曜日

弁理士試験口述間近

弁理士試験の口述式(3次=最終)も間近になってきました。
所属会派と受験機関の口述練習会で、試験官役を何回かやっています。

持参する法令集の色で、口述が2度目や3度目なのがかなりわかるのですが、2度目以降なのに結構準備不足な人もいて、他人事ながら心配になってしまいます。

基本である条文をきちんと押さえていない受験生も思ったより多く、なかなか合格点を出せませんでした。

残り時間はわずかですが、集中して頑張ってほしいです。


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2011年9月15日木曜日

日本の漫画が原作の韓国ミュージカルが

「カンナさん大成功です!」を原作とする韓国ミュージカル「美女はつらいよ」に対し、原作漫画の著作権を管理する講談社が、公演差止めの仮処分申請を東京地裁に申し立てているそうです。

今日の朝日新聞朝刊39ページによれば、2006年の韓国での映画化の際はライセンス契約が結ばれたが、今回は折り合いがつかなかったとのこと。
日本公演製作・主催の松竹の広報室は、「当社は韓国企業から許諾を受けており、基本的に講談社と韓国企業の問題と認識している」と発表しています。

一方、サーチナ(2011/09/15() 10:37)によれば、2008年に韓国内で同ミュージカルの上演が開始された時点から、「原作とは違うストーリーが設定されているため、著作権は発生しない」とする韓国の製作会社側と、「著作権は厳然と存在する」という講談社側の主張が対立していたとのこと。

まず、原作と違うと著作権は発生しない、という解釈には、問題があるように思われます。
原作に依拠した翻案であれば、著作権は及びます。

さらに、「原作と違うストーリー」について、原作に依拠していながら、著作者の意に反する改変が行われていれば、著作者人格権である同一性保持権が侵害されている可能性があります。

そして、著作権は二次的著作物にも及びますので、韓国企業のミュージカルに講談社の著作権が及ぶとなれば、松竹にも及びます。

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2011年9月8日木曜日

「サトウの切り餅」は特許侵害 知財高裁、一転認める

切り餅をふっくら焼き上げるための「切り込み」の特許をめぐる訴訟の控訴審で、知財高裁(飯村敏明裁判長)は7日、「サトウの切り餅」で知られる業界1位の佐藤食品工業(新潟市)が、業界2位の越後製菓(新潟県長岡市)の特許権を侵害したと認める判断を示した。
  最終的な判決の前に、争点を絞り込むため特定の論点について判断を示す「中間判決」。昨年11月の一審・東京地裁判決は特許権の侵害を認めておらず、判断が逆転した。越後製菓は約15億円の損害賠償とサトウの切り餅などの製造・販売の中止を求めており、今後はこれらを認めるかについての審理が続く。
 訴訟は、餅の側面に切り込みを入れる技術の特許を登録している越後製菓が2009年に起こした。側面だけでなく上下面にも切り込みを入れる佐藤食品の製品が特許を侵害するかどうかが主に争われてきた。
 佐藤食品は「特許は側面に限定したもので、上下面にも切り込みを入れるのは別の技術だ」と主張した。しかし、飯村裁判長は「側面の切り込みが特許の内容だが、上下面の切り込みを排除したわけではない」と指摘。佐藤食品の製品は、越後製菓の特許の範囲に含まれると判断した。
 佐藤食品は「02年の特許出願より先に同じ特徴の餅を販売している」と特許の無効も主張したが、飯村裁判長は「側面への切り込みは当時の佐藤食品の餅にはなかった」と退けた。
 佐藤食品は「現時点でも特許権を侵害するものではないと考えており、今後も争う」との談話を出した。(asahi.com2011年9月8日3時27分)

特許公報(第4111382号)を見ると、請求項1は以下のようになっています。

 焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体である切餅の載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け、この切り込み部又は溝部は、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に一周連続させて角環状とした若しくは前記立直側面である側周表面の対向二側面に形成した切り込み部又は溝部として、焼き上げるに際して前記切り込み部又は溝部の上側が下側に対して持ち上がり、最中やサンドウイッチのように上下の焼板状部の間に膨化した中身がサンドされている状態に膨化変形することで膨化による外部への噴き出しを抑制するように構成したことを特徴とする餅。

「この周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け」とありますので、特許発明の技術的範囲は、かなり広く解釈できそうにも思えます。

公開公報(2004-147598)と比較すると、相当の補正がなされていますので、審査段階ではいろいろご苦労があったことがしのばれます。



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2011年8月13日土曜日

赤い靴底はルブタンのもの? 米裁判所は認めず

フランスの靴ブランド、クリスチャン・ルブタンが、赤い靴底は同社のトレードマークだとして競合ブランドのイヴ・サンローラン(YSL)の製品販売差し止めを求めていた問題で、米ニューヨークの連邦地裁はルブタン側の申し立てを退ける決定を言い渡した。ルブタンは「ラッカー塗りの赤い靴底」の商標を登録しており、YSLが販売している4種類のパンプスについて、ルブタンの商標権を侵害しているとして6月に販売差し止めを申し立てた。ルブタン側は、「あの鮮やかな赤を見れば誰もがルブタンを思い浮かべる」(ルブタン側弁護士)と主張していた。
米連邦地裁のビクター・マレロ裁判官は10日に言い渡した決定で、ルブタンの赤い靴底はそれまでの業界の常識を覆し、「容易に認識され、記憶される独特の印象的な」製品を作り出したと認めた。しかしルブタンが「赤い色」について商標権を主張するのは「範囲が広すぎ、商標登録の現実にはそぐわない」との判断を示した。
YSL側の弁護士は、「そもそもこの商標登録は認められるべきではなかった」と話している。 世界中の女性からあこがれを集め、歌手ジェニファー・ロペスが歌にするなど有名人にもファンの多い靴ブランド、クリスチャン・ルブタン。パリ市内のアトリエで創設者のデザイナー、ルブタン氏にインタビューした。ルブタン氏がデザインする靴は、高いヒールと赤い靴底が特徴。「ヒールはそれ自体が工学だ」と語る。(CNN.jp 2011.08.12 Fri posted at: 12:30 JST)


商標は、意匠のようにデザインそのものを保護するものではなく、あくまでその商標に蓄積した信用を保護するものなので、形式上その指定商品についての登録商標の使用に該当しても、商標的態様の使用であると認められなければ、侵害は成立しません。

サンローラン側の靴の画像を見ると、確かにルブタンのものに似ていなくもないとは思いますが、はたしてその使用態様は、商標としての使用なのかどうか。

やはり商品のデザインは原則的には意匠権で保護されるべきで、あまり商標権の範囲を拡大すべきではないと思います。

ただ、意匠権は一定期間で保護が打ち切られるのに対し、商標権は更新手続きさえすれば原則的には永久に続きますから、商標権での保護を求めるわけですね。


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2011年8月6日土曜日

下町ロケット・感想

遅ればせながら、池井戸潤・著「下町ロケット」、読了しました。

実は、私の父も、ロケットに関する仕事をしておりました。

バルブではなくボディで、種子島でなく内之浦でしたが。

そんなこともあって、読んでいていろいろうるうるとしてしまいました。

父は私が物心ついたころには、企業から大学に戻っていましたが、主人公も、もし、社長でなかったら、株式を売却し、大学に戻ったかもしれないなあ、とか、思っちゃいました。

本当にたくさんの要素を詰め込みながら、一気に読ませるすばらしい作品だと思います。

弁理士としては、一部出願手続き等についての表現で、校閲が不十分に思える箇所がありますが、そんなことは、この作品の価値を減ずるものではまったくありません。

でも、刷を重ねているのだから、どこかで直してくれないかなあ。

版元のご担当者、ご連絡いただければ、具体的にご指摘いたします。
もっとも、とっくに誰かが投書しているかもしれませんね。

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2011年7月30日土曜日

「入れ墨は著作物」無断掲載の著者らに賠償命令

彫物師の手による入れ墨が著作物にあたるかどうかが争われた訴訟の判決で、東京地裁(岡本岳裁判長)は29日、「作者の思想、感情が創作的に表現されており、著作物だといえる」との判断を示した。その上で、入れ墨の写真を無断で掲載した本の著者と発行元の「本の泉社」(東京)に計48万円の損害賠償を命じた。
原告代理人の弁護士によると、入れ墨が著作物として認められたのは異例。
訴えていたのは、東京都の彫物師木村洋勝さん(49)。2001年に千葉県内の男性に依頼され、写真をもとに十一面観音立像の入れ墨を左太ももに彫った。07年にこの男性が本を執筆した際、表紙カバーに入れ墨の写真を使ったため、「著作者の権利を侵害された」と主張していた。
出版社側は「入れ墨は写真の単なるまねに過ぎない」と主張したが、判決は「構図の取り方や仏像の表情に創意工夫があり、技法を凝らしている」と認めた。その上で、掲載にあたり木村さんの名前を表示せず、写真をセピア色に変えたことが権利侵害にあたると判断した。(asahi.com2011年7月30日8時46分)

 この写真の著作物の著作権者である写真家が出てくると、もっと面白くなるんですがねえ。
写真家が彫り物師を訴えることができますから。
写真家は、刺青の写真を掲載した本の著者と、出版社を訴えることもできます。
著作権・著作者人格権の効力は、二次的著作物にも及びますから。

この場合、被告側は、当該写真の著作物が、創作性のない単なる模写であるから侵害に当たらない旨を主張することになります。
でも、仏像は立体なので、写真には何らかの創作的な面があるのが普通ですから、その主張は認められにくいと思いますが。

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2011年7月20日水曜日

「ヒカリアン」に酷似 中国の高速鉄道アニメに盗用疑惑

 中国で今秋にも放送される高速鉄道を主役とするアニメ「高鉄侠」が、新幹線を主役にした日本のアニメ「超特急ヒカリアン」に酷似しているとして、中国で「盗用」を疑う声が広がっている。
 中国が日本やドイツから買った技術をもとに開発した「中国版新幹線」の特許申請を始めたことを疑問視する見方もあるなかで、日本でも批判を集めそうだ。
 「高鉄侠」は擬人化された「高速鉄道」が率いる正義のグループが悪者たちを倒し、乗客を守る物語。中国でも2000年以降に放映されている日本のアニメ「超特急ヒカリアン(中国語名・鉄胆火車侠)」にそっくりだという。 (asahi.com 2011年7月20日11時31分)

 最近は、中国人側に「恥を知る」人が増えてきたように思います。
 かつてのように、パクリ問答無用という文化が変わってきたのはよいことです。



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2011年7月1日金曜日

Yチェア:立体商標認める 知財高裁「他商品と識別可」 

  
デンマークの家具メーカー「カール・ハンセン&サン」の日本法人が、背あて部分の支柱がY字形の木製いす「Yチェア」の立体商標登録を求めた訴訟の判決で、知財高裁は29日、登録を認めなかった特許庁の審決を取り消した。飯村敏明裁判長は「形状は特徴的で、他の商品と識別できる」と述べた。
同社は08年2月に登録出願したが認められず、不服を申し立てた。特許庁は昨年6月の審決で「類似品もあり、消費者は形状から識別できない」と請求を退けた。
これに対し、飯村裁判長は「長期間形状の特徴に大きな変更を加えず継続的に宣伝・販売され、販売数は1種類のいすとしては際立って多い」と指摘。そのうえで、類似品の存在については「カ社は販売業者に警告書を送るなどの措置を講じてきている」として、商標登録の妨げにはならないと結論づけた。
Yチェアはデンマークの家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナー氏(故人)がデザイン。カ社が製造を手がけ、50年ごろから各国で販売されている。
毎日.jp 2011年6月29日 19時27分(最終更新 6月29日 19時56分)


Yチェア、は勉強不足で存じ上げませんでした。

というか、高価な家具、というものを買ったことがないもので……。

やれやれ。



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2011年6月2日木曜日

Lady Cube Live at club t

昨日、六本木のclub t( http://r.gnavi.co.jp/e150800/ )で、 Lady Cube( http://onotch.jp/lady3/ )のライブがありました。 

 ゲストで1曲歌ってきました。  

You've got a friendを、TomicaとMahiroと歌いました。
 Lady Cube-Yuri+Snatchという編成です。 

バンドも上手で、とても気持ちよかったです。  

最近4ヶ月ほどで約10キロ減量したんですが、ディスコソングの時に踊ってみると、ものすごく体が軽くなっていました。

自分でもびっくりしました。

関係ないけど、以前よく「ダイエットのことなら私に聞いて」という缶バッジをつけた人がいましたが、今はどうしているんでしょうか。

砂川惠一

2011年5月14日土曜日

弁理士法違反事例

無資格で商標登録の申請出願を代行、弁理士法違反容疑で県内初の送検/横浜

 弁理士の資格がないにもかかわらず、報酬を受け取って商標登録の申請出願を代行したとして、戸塚署は5日、弁理士法違反の疑いで、横浜市戸塚区の男性自営業者(68)を書類送検した。
 同署によると、同法違反での送検は県内初。
 送検容疑は、資格を持たずに2008年7月から10年4月まで、計5回にわたって同市港北区のカメラ販売会社など3社から報酬計約47万6千円を受け、申請書類を作成、特許庁に商標登録を出願した、としている。
 同署によると、男性はNECコーポレートデザイン部事業部長などを経て、定年退職後、個人事務所として「発明ブランディング研究所」を自宅に設立。商品名考案などのコンサルティング業務を行っていた。
 商標登録は申請者本人が直接出願することはできるが、弁理士や特許業務法人以外が報酬を受けて代理申請することは弁理士法で禁止されている。
 同署によると、男性は「違法性の認識はわずかにあった。思いのほか簡単に書類が作成でき、金銭が得られるので続けていた」と容疑を認めているという。
カナロコ 4月6日(水)0時45分配信)

 少し前の事件ですが、最後のコメントが「とほほ」です。

 クライアントにこんなことを思われないように、保護の態様や指定商品役務の選択などについて、専門家ならではのアドバイスができるように、日ごろから勉強しておかなきゃいけないと思いました。

特許・実用新案・意匠・商標の出願、その他知的財産についてのご相談、承ります。
朝陽特許事務所   http://www.choyo-pat.jp/
弁理士 砂川惠一 sunakawa@choyo-pat.jp
(メールアドレスは、SPAM防止のため全角表示してあります。半角に直してお送りください。)
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Tel:03-3568-3063 Fax:03-3568-3064

2011年4月22日金曜日

ゴルチエの香水容器は「立体商標」 知財高裁が判決

女性の体をかたどった「ジャンポール・ゴルチエ」の香水の容器について、知財高裁(滝沢孝臣裁判長)は21日、特許庁の審決を取り消し、ゴルチエ側の請求通りに「立体商標」と認める判決を言い渡した。
判決は「他には見当たらない特異な形状で、15年以上販売されて雑誌にも掲載されてきた。消費者は、形を見ればゴルチエの香水だと識別できる」と述べた。
ゴルチエはフランスの高級デザイナーズブランド。コルセットを着けた女性の体の形をした香水「クラシック」を、1994年から日本で販売し始め、近年も年間約5千万円を売り上げる人気商品となった。
ゴルチエ側は2006年に商標登録を出願したが、特許庁は「香水の容器には同種の形状や装飾が使われており、この形だけでゴルチエとは分からない」と認めなかった。
立体商標として知財高裁が認めた例としては、これまでにコカ・コーラの瓶やヤクルトの容器がある。 (asahi.com2011年4月22日1時53分)

容器の形を立体商標として登録を認める場合、周知性に基づく識別力の有無が問題となります。
ところで、著名性のない他社の容器は識別力を有さないため、その使用の態様は商標の使用として認められないと思います。
すると、他社の類似形状の容器の使用に対して、商標権者は権利行使できるのでしょうか。

ヤクルト容器が認められたとき、「他社の容器に権利行使しない」と表明していたと思いますが、同業他社の容器は、商標としての機能を発揮していないように感じます。

ただ、ヤクルト以外の乳酸菌飲料の場合と違って、化粧品会社がこのゴルチェと同じような瓶で化粧品を販売すると、出所の混同を生じる可能性はあると思いますので、難しいところです。

商品自体の形状であるマグライトなども含めて、侵害訴訟が起こってくれると裁判所の判断がわかるんですが。


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2011年4月10日日曜日

Jazzの親睦会

沢田靖司さんという、すばらしいジャズマンがいます。

シンガー、プレーヤーとしても超一流なのですが、
「沢田靖司ジャズボーカル教室」がまた秀逸なのです。
http://www.ozsons.com/SawadaYasushi/

幾多の有名ミュージシャンが沢田先生の教えを受けています。

私は、実はちょっとした事情で”裏口入学”なのですが(笑)。

4月3日にお弟子さんたちが師匠を囲む会があり、
私も乱入してきました。
http://www.ozsons.com/SawadaYasushi/
(ついでに2005年の会もhttp://www.ozsons.com/SawadaYasushi/reception2005.htm

弁理士試験の受験勉強を始める前、
ちょっとだけジャズ活動をしていましたが、
やはり仕事と受験とジャズの3本立ては無理で、
ジャズをあきらめました。

今では気楽にジャズで遊べるようになりました。
仲間も覚えていてくれて、
ありがたいことです。

2011年4月3日日曜日

コロンブスは

プロフィールの写真を変更しました。

某所で、生卵を立てているものです。

生卵は、個体により立ちやすいものとそうでないものがありますが、
基本的には必ず立ちます。

種も仕掛けもありません。

というわけで、
「コロンブスの卵」は、
下品な話だと思います。

ゴルギアスの結び目もそうですけどね。

ただ、その下品さもパワーだと言われれば、
おっしゃる通り、ですけど。

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2011年4月2日土曜日

震災支援とは知らず

事務所の近くに「シュマン」というフランス料理のお店があります。

赤坂にやってくる前に2度ほど伺ったことがありますが、
たいへん美味しいお店です。

私が初めてランチタイムのサンドイッチ販売に気づいたのは、
19日(土)のことでした。

寒い日もあったのに、毎日若いスタッフが
店内でサービスするのと同じような薄着で、
販売していました。

500円で、とても美味しく、
栄養のバランスもよいので、
今日も含めて5回ほどいただきました。

ただ、今日までは、
震災後の自粛ムードで、
ミシュラン1つ星店といえど苦しいのかな、
くらいにしか考えていませんでした。

ところが、今日サイトを見て気づいたのですが、
実は、震災支援の商品だったのです。

「売り上げの一部は義援金にします」とのことですが、
1日限定20個しか販売しないことと寄付金額を考えると、
売り上げの大半を赤十字に送ったことになります。

高級店で、なかなか自力でディナーには行けないのですが、
今度がんばってみようかと思っています。

シュマン (Chemins)
港区赤坂2-17-7 赤坂溜池タワーANNEX 1F
03-3568-3344
http://www.chemins.jp/

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2011年3月25日金曜日

心の持ち方

何を書いても軽々しくなりそうで、
しばらく更新をお休みしていましたが、
私が力づけられた一言を。

イタリア帰りの友人の言葉です。

「イタリアなんて、地震も津波もなくても、
電車は時間通り来ないし、
いきなり停電はするし、
スーパーでも品切れ品補充しなくて買えないし。
こういうの普通だから」

便利に慣れていますから、
今の状態は不便に感じますが、
そういうものだと思って、
不満は言わないようにして、
できるだけ工夫して暮らしていこうと思います。

頭で考えるのではなく、
体験した人の言葉には力がありますね。

「普通」のハードルを下げることにします。

2011年3月1日火曜日

Web Site開設

事務所のWeb Siteを開設しました。

URLは以下の通りです。

よろしくお願いいたします。

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弁理士会関東支部

弁理士会関東支部で、千葉委員会に所属することになると思います。

微力ながら、一所懸命務めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

2011年2月18日金曜日

チョコボール商標

<森永>「チョコボール」の商標権侵害、名糖に賠償求め提訴

 チョコレート菓子「チョコボール」を販売している森永製菓(東京都港区)が、アイスクリーム「徳用チョコボール」を販売している名糖産業(名古屋市)に商標権を侵害されたとして、販売差し止めや6000万円の賠償などを求めて提訴していたことが分かった。東京地裁で17日に開かれた第1回口頭弁論で、名糖産業は全面的に争う姿勢を示した。
 訴えによると、森永は67年から「チョコボール」の名称を使用。09年に名糖のアイスクリームの存在を知り、使用の中止を求めた。しかし、名糖は商標権者の出願前から同様の商標を使い、広く認知されている場合に、引き続き商標を使える権利(先使用権)を主張するなどして、要請に応じなかったという。
 森永は「多大な工夫と企業努力で主力ブランドの一つに育て上げてきた。企業価値にかかわる極めて甚大な損害を受けた」と主張。請求額の拡張も予定しているという。
 名糖産業は「裁判中なのでコメントは差し控えたい」としている。(毎日.jp 2月17日(木)20時44分配信)

【登録番号】商標登録第5149690号(T5149690)
【登録日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【登録商標(標準文字)】チョコボール
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】第30類 チョコレートを使用した菓子
【出願日】平成16年5月25日(2004.5.25)
【審判番号】不服2005-12900(T2005-12900/J1)
【審判請求日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【商標権者】森永製菓株式会社

 今のところ審判の内容は調べていませんが、商標からみて拒絶理由は3条1項3号と4条1項16号が通知され、3条2項の主張と指定商品の削除補正とがされたのかな、と思います。

 名糖がいつから「徳用チョコボール」を販売していたかはわかりませんが、森永の出願はかなり遅い感があります。
 私が子供のころ(だいぶ前です)には著名でしたからね。

 画像を見ると、パッケージには自然なレトロ感(はっきり言って古臭い)がありますので、こちらも結構前から販売されていたのかな、と思いました。

 商標の場合、先使用権はただ使用していたことだけではなく、周知性が要件となりますから、その判断が問われることになるのでしょう。
 周知性の程度は、4条1項10号並み、すなわちある1地方での周知性で足りると解されます。
 森永はちょっと苦しいかもしれません。
 混同防止請求あたりが落としどころでしょうか。

 名糖としては、あとは26条の主張かな。

 ちなみに記事では「徳用チョコボール」になっていますが、画像では「お徳用」となっております。
 ほかにもいろいろ書いてあるし。

 しかし、登録から5年経っていないから、無効審判かけられちゃうかもしれませんね。

 「戦争をやめろ!」(by 遊星仮面)

2011年2月4日金曜日

林原……

 甘味料の天然糖質トレハロースの開発や抗がん剤インターフェロンの量産で知られる岡山市のバイオ企業、林原(はやしばら)とグループ2社が2日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。引責辞任した林原健・前社長(69)が「最も重要な透明化ということを忘れて、事実と異なる極めて不適切な会計処理を行った。昭和の時代から続けてきたこと」と粉飾決算を認めており、今後刑事事件に発展する可能性もある。 (後略)(asahi.com2011年2月3日0時23分)

 私は、森雅裕という作家が好きなんですが、
その「鉄の花を挿す者」という作品の中で、
明らかに林原を指すと思われる、
「森原」という企業が出てきます。

 当時、ストーリーは面白いとしても、
この扱いはちょっと不当なんじゃないかな、
と思うくらい、「森原」は悪役だったんですが、
このニュースに接して、
森雅裕の眼力を改めて見直した次第です。

 復刻や新刊を望んでいますが、
難しいかな……。

2011年2月3日木曜日

何か基準が変では……

 警視庁による野球賭博事件の捜査の過程で、力士らの携帯電話のメールに相撲で八百長が行われていたことをうかがわせる文言が見つかった問題で、日本相撲協会は2日、名前が挙がった13人のうち、当時の十両春日錦(現・竹縄親方)ら12人から事情聴取した。力士らは関与を否定したというが、協会は外部による調査委員会を設置、厳正に調べるとしている。
(中略)
 協会の監督官庁である文部科学省に、警察当局から伝えられたメールは計46通。協会は文科省から、事実関係の解明を指示されていた。
(asahi.com2011年2月3日3時38分)

 まず、「野球賭博事件の捜査の過程」の情報を、その事件とは別の件の「監督官庁である文部科学省に、警察当局から伝え」ちゃっていいものでしょうか。

 あと、私の知人にも、八百長があった、ということを、ほとんどの取り組みが八百長で相撲はインチキだ、という人がいるのですが、実は逆で、ほとんどがガチンコ(真剣勝負)だからこそ、八百長が成り立つわけです。
 ガチンコを前提にしなければ、八百長には何の価値もありませんから。

 ショーであるプロレスには、八百長は存在しないんです。

 言い方は悪いですが、相撲は賭けの対象になりうるけれど、プロレスは賭けの対象にならないですよね。

 私は、お相撲は好きなんですが、一連の騒動には正直嫌気が差しています。

 何年も前から思っていたんですが、公益法人を認めないで、普通に税金払ってもらえば、何も騒ぐことはなくなるんじゃないですかねえ。
 「国技」なんて、お相撲サイドが勝手に言い出したことが追認されちゃったわけだし。

 文部科学省もようやくその可能性を言い出しましたが、ずいぶんごゆっくりだと思います。

 でも、遅くてもやらないよりはいいでしょう。

面白い恋人

お土産でいただきました。

くださった方は、
「よく『白い恋人』はクレームしないよな」
とおっしゃっていましたが、
商標権の侵害には該当しない可能性が高いですね。

ま、笑って済ますレベルの問題だと思いますが。

ちなみに吉本興業が売り出してます(笑)。
http://gurutabi.gnavi.co.jp/gourmet/cat4/omoshiroikoibito_osaka/

2011年1月21日金曜日

海外で日本のTVを見ることについて

「テレビ番組海外転送 利用者指示での録画も違法 最高裁
 日本のテレビ番組の海外転送が著作権法に違反するかが争われた訴訟で、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は20日、利用者の指示を受けて録画する方式のサービスについても「業者の管理、支配下で放送を受信し、複製される場合には著作権法に違反する」との判断を示した。
 その上で、サービスを適法とした二審・知財高裁判決を破棄。今回のケースではどの業者が機器を管理していたかはっきりしないとして、審理を知財高裁に差し戻した。
 18日には録画せずにリアルタイムで番組を転送するサービスについても、別の小法廷が違法とする判決を言い渡しており、業者が介在して日本の番組を海外在住者向けに転送するビジネスは閉ざされることになりそうだ。
 「ロクラク」の名称でサービスを提供していた日本デジタル家電(浜松市)が、NHKと東京、静岡の民放9社から訴えられていた。 (asahi.com2011年1月20日15時8分)」

 目の付け所はいいと思うんですけど、やっぱり他人の作ったものを勝手に流したりコピーしたりすることは許されません。
 知的財産権は無体財産権で、所有権が必ずしも占有権と結びついていないし、技術の進歩でコピーなどが容易になったから、問題は起こりやすくなっています。

 しかし、今回の原告のテレビ局は、どうせなら被告の会社を買い取ってしまって、自分で海外に配信すればサービスも継続できるし、収入も上がるんではないかな。

 それとももう自前で持っているんでしょうか。
 私は、自分自身があんまりテレビを見ないもので、そういう点はよく知らないんです。
 
 私が父親の仕事の関係でアメリカに在住していたのはもう40数年前で、今より地球はだいぶ広かったです。
 直行便がなくて、DC8が一度ホノルルに下りて、それからメインランドに向かったという時代でした。
 東京オリンピックは、衛星中継で見ました。
 当然通常の日本のテレビを見ることなど考えられませんでした。

 そういう点では本当に地球は狭くなっているんですね。
 

2011年1月20日木曜日

ヴァンフォーレ商標はどうなっているんでしょう?

まず、アサヒコムです。
「VFシンボルマーク 使用差し止め求め提訴
 サッカーJ1に昇格したヴァンフォーレ(VF)甲府をめぐり、前身の「甲府サッカークラブ」で監督や代表を務めた甲府市の男性(74)が、シンボルマークの使用差し止めなどを運営会社に求めて、東京地裁に提訴したことが18日、わかった。
 訴状などによると、男性は1997年に営業権を運営会社の「ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ」に2億4800万円で譲る契約をした。同クラブは、男性名義でユニホームや看板に使用されるマークやロゴの商標権を取得。
 クラブ側は男性に月約90万円を支払っているが、譲渡代金は支払っていないという。
 男性は2009年、譲渡代金の支払いを求めてクラブを提訴。クラブ側は1億円で商標権を買い取る和解案を示したが、拒否した。
 クラブ側は「営業権はクラブが引き継ぎ、契約は無効。男性にシンボルマークの使用を差し止める権利はない」としている。 (2011年01月19日)」

続いてヨミウリオンライン。
「ヴァンフォーレ商標権、弁理士が無断抹消してた
サッカーJ1に復帰したヴァンフォーレ(VF)甲府の運営会社「ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ」が雇った弁理士が2009年、チームエンブレムなど三つの商標権を、名義人でチームの代表者を務めた男性(74)に無断で抹消していたことが19日、わかった。
 男性は商標権の回復を求めて提訴し、翌10年にエンブレムを取り戻した。
 訴状によると、弁理士は2007年、同社名義でチーム名のロゴなどを商標登録申請したが、すでにチーム名入りのエンブレムが男性名義で登録されており、特許庁が拒絶。このため、弁理士は、男性の許可を得ずに男性名の印鑑を使い、自らを代理人とする委任状や商標権の抹消登録申請書を作成して提出し、09年3月に男性名義の商標権を抹消した。
 男性は同年8月、商標権の回復を求めて運営会社と弁理士を相手取り東京地裁に提訴した。
 男性の弁護士や運営会社によると、訴訟では運営会社が「弁理士の判断で行われた」と主張し、弁理士は、「(チームの代表を務めていた)男性名義の商標は実質チームの所有と考え、私の一存で抹消した」と説明。男性は運営会社に対する提訴を取り下げ、昨年10月に弁理士との和解に応じた。特許庁は商標権を回復した。
 男性は09年12月、この提訴後に、運営会社を相手取りチーム営業権の譲渡代金の支払いを求めて民事訴訟を起こし、さらに今月18日、チームエンブレムの使用差し止めを求め提訴した。
 運営会社は読売新聞の取材に対し、「男性と我々との複雑な事情を弁理士が理解していたのかどうか。どうしてあんなことをしたのか分からない」としている。弁理士は「何も言えない」と話している。(2011年1月20日13時36分 読売新聞)」

 IPDLで検索してみると、ヴァンフォーレ甲府がらみの登録商標の商標権者は、現在の運営法人名又は、私の確認できる範囲で2006年3月に現運営会社の非常勤取締役に就任した男性となっております。
 この方は、甲府市内の会社社長のようですが、「甲府サッカークラブ」で監督や代表を務めたかどうかは確認できませんでした。
 まだ詳細が明らかではありませんので、これ以上は差し控えますが、それにしてもヨミウリオンラインの「チーム名のロゴなどを商標登録申請」って、脱力します。
 読売に限りませんが、報道では「申請」がしばしば「出願」の意味で誤用されています。
 クレームはないんでしょうか。

 って、私も気づいてもクレームしたことはありませんが。

2011年1月18日火曜日

ひこにゃん考(2)

では、裁判所はどんなスタンスで取り扱ったのか。

「大阪地裁は昨年12月24日、両者が民事調停で合意したことを踏まえ、「市側は合意に違反して3ポーズ以外のグッズを許可し続けている。差し止め請求は信義に反し、権利の乱用だ」と判断し、市の申し立てを退けた。」(朝日新聞2011年1月8日夕刊)

つまり、不正競争防止法についての判断以前の問題だ、としたわけです。

民法にはこう書いてあります。
第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3  権利の濫用は、これを許さない。

彦根市は、知財問題として提訴しましたが、いわば門前払いです。

ちなみに、新聞の翌朝の地方版では、彦根市長の談話の一部として遺憾記事がありました。

「また、彦根市のぬいぐるみ製造販売の許可は調停合意に違反していると大阪地裁から指摘された点について、『決定の理由付けには拘束されない』と述べ、今後も許可していく考えを明らかにした。」

そりゃそうかもしれないけど、この人と一緒に仕事はできないな、と思わざるをえません。
まあ、あちらさんも別にお声をかけてはくれないでしょうが。

2011年1月17日月曜日

「ひこにゃん」考(1)

先日のひこにゃんについての報道で違和感を感じたのは、「『著作権と商標権が侵害されている』として不正競争防止法に基づく仮処分を申し立てた。」(朝日新聞2011年1月8日夕刊)という点です。
著作権と商標権が侵害されているのなら、著作権法と商標法に基づいて請求すればよいことですから。

そこで、「著作権と商標権が侵害されている」ことを主張立証する根拠がなかったのではないか、と思われるのです。

著作権については、市側が「買い取った」という契約の内容が正確にはわからないのでなんとも言えない部分があります。
とはいえ、著作権侵害が成立するためには、既存の他人の著作物(原作品)を「利用して作品を作出」すること(依拠性)が必要です。

また、ひこにゃんについての登録商標の内容ですが、商標登録第5104693は、標準文字の「ひこにゃん」で、図形はありません。

仮処分の請求内容も詳細がわかりませんが、不正競争防止法の2条1項1~3号のいずれかを根拠にしたのだと思います。
(続く)

2011年1月16日日曜日

職業は弁理士です

砂川惠一と申します。

職業は弁理士です。

知財の話や、その他何か面白いことがあったら、書いていきたいと思います。

よろしくお願いいたします。