2012年3月6日火曜日

変に端折ると表現が不正確になります

まず、共同通信の記事です。

国際特許、パナソニック2位転落 震災影響なし

 【ジュネーブ共同】世界知的所有権機関(WIPO)は5日、世界の企業などによる2011年の国際特許登録の出願件数を発表し、企業別では中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)が前年比958件増の2826件で首位となり、前年首位のパナソニックは2463件で2位だった。世界全体の出願件数は同10・7%増の18万1900件で過去最高。
 国別では米国が同8%増の4万8596件で首位、日本は同21%増の3万8888件で2位。WIPOは「東日本大震災の影響はない。日本は国内での特許登録から国際登録に軸足を移している」と分析した。
2012/03/05 22:58   【共同通信】
 
次に、時事通信の記事です。
 

国際特許、中国企業が首位=パナソニック2位に後退

 【ジュネーブ時事】世界知的所有権機関(WIPO)が5日発表した特許協力条約(PCT)に基づく2011年の国際特許出願件数(速報値)は、中国通信機器大手の中興通信(ZTE)が企業別で1位となり、2年連続首位だった日本のパクは3年ぶりに2位に後退した。総出願件数は前年比10.7%増の18万1900件と過去最高を更新した。
 ZTEの出願件数は2826件、パクは2463件。日本企業ではシプ(4位)、ト車(7位)もベストテンに入った。
 国別では、米国(4万8596件)が首位を堅持。次いで日本(3万8888件)、ドイツ(1万8568件)、中国(1万6406件)の順。前年比伸び率では中国が33.4%増、日本21.0%増と、アジア勢の伸びが目立った。(2012/03/05-22:16)


共同の「2011年の国際特許登録の出願件数」と、時事の「特許協力条約(PCT)に基づく2011年の国際特許出願件数」と、同じことを違う表現で書いていますが、我々知財業界の人間が読むと、共同の表現は体が痒くなります。

ちょっと調べれば分かることだと思うのですが、共同はなぜ時事のように正確なことばで書かないのでしょうか。
不思議です。

ちなみに、「東日本大震災の影響はない。日本は国内での特許登録から国際登録に軸足を移している」と本当にWIPOのコメントがあったかどうか知りませんが(∵時事は言及していない)、このコメントもおかしいですね。

日本国内の出願件数は減少傾向にあり、日本からのPCT出願は日本国にした出願とみなされますから、「軸足を移し」たのではなく、国際出願できない出願を絞り込んできただけでしょう。

東日本大震災の影響は、PCT出願に関してはなかっただけだと思います。

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2012年2月19日日曜日

通販サイト上の商標権侵害の責任の所在

<画像は楽天市場「fujishop」より>

2月14日に知財高裁は、インターネット通販サイトで商標権の侵害があった場合、出店者だけでなく、一定の条件下で、「出店ページ」を提供・管理するウェブサイトの運営者にも法的責任が問えるとの判断を示しました。

平成22年8月31日になされた原判決では、被告サイト上の出店ページに登録された商品の販売(売買)の主体は、当該出店ページの出店者であって、一審被告はその主体ではない等として、一審原告の請求を棄却し、これに不服の一審原告が控訴を提起していました。

知財高裁判決は、
「たとえ出店者が販売に関しては所有権移転の主体であるとしても、
一審被告が楽天市場の運営者として展示、販売の場を提供しなければ、
「各商品が楽天市場で展示、販売」されることはなく、
したがって一審原告が独占的に有する登録商標の出所表示機能が害されることもなかったのである。
仮に、一審被告が楽天市場の運営者として真正品でない「各商品が楽天市場で展示、販売」をさせる各行為が、
「譲渡のための展示」又は「譲渡」行為に該当せず、
商標法2条3項の「使用」ではないとしても、
一審原告が独占的に有する本件各登録商標の登録商標の出所表示機能、
すなわち識別力を害するものであるから、商標権侵害行為である。」
と判示しました。

また、他の通販サイトとの比較から、楽天市場が禁制品の販売を差し止める機能を持たないことに故意または過失があるとも判断しました。

その上で、
「ウェブサイトを運営する一審被告としては、
商標権侵害の事実を知ったときから
8日以内という合理的期間内にこれを是正した と認めるのが相当である。
以上によれば、本件の事実関係の下では、
一審被告による「楽天市場」の運営が
一審原告の本件商標権を違法に侵害したとまでいうことはできないということになる。」
として、控訴人の請求を棄却しました。

通販システムの提供者は、「場所を貸しているだけだから、何が売られていても責任はないよ」とは言えないという判断で、模倣品の流通差し止めのためには適切な判断だと思います。


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2012年2月16日木曜日

JASRACへの排除措置命令が審判で取り消されました

もう2週間ほど経ってしまいましたが、著作権管理団体「日本音楽著作権協会(JASRAC)」の楽曲使用料の徴収方法が独占禁止法違反にあたるとして出した排除措置命令について、公正取引委員会が取り消す案をJASRAC側に伝えました。

公取委は当初、JASRACがテレビ局などから年間放送事業収入に約1.5%を掛けた金額を楽曲の使用料として徴収する「包括徴収」という方式を問題視しました。

著作権を扱う競合他社が管理する楽曲を放送局が使用する場合、JASRACへの支払額は変わらないが他社への追加出費が必要となるため、放送局が他社の管理楽曲の使用を控え、他社の参入を排除することになるとして、公取委は2009年2月、JASRACの独禁法違反(私的独占)を認定しました。

これに対しJASRACは、公取委に審判を請求し争っていました。

2006年10月に新規参入したイーライセンス社の管理楽曲だった大塚愛さんの「恋愛写真」について、イーライセンス社は「放送各局は追加出費を避けるため、06年10月以降、FMラジオ局を中心に『恋愛写真』をほとんど放送しなかった」などと主張していましたが、JASRAC側は「『恋愛写真』は06年10~12月に少なくとも729回放送され、放送局はイーライセンス社への支払いを追加出費であって負担であるとは考えていなかった」などと反論しました。

審決案はJASRAC側の主張をほぼ認め「放送局が追加負担を考えて楽曲の使用を控えることはほとんどなく、包括徴収が競合他社を排除するような効果があると認めるような証拠はない」と判断しました。

今回の判断について採用された時期は、リーマンショック前でもあり、放送局側も人気アーティストの曲をちょっとぐらいの楽曲使用料で控えることはなかったでしょうが、現在CMが頼りの民法各社の経営はどこも苦しく、今後はどうなるか分かりません。

そういう意味では、イーライセンス社は、参入直後の時期に、しかも立証に対し反証されてしまうような事案で戦うのではなく、じっくり待った方がよかったかもしれません。

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2012年1月30日月曜日

「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」についての知財高裁判決

(表は朝日新聞digital2012年1月28日03時00分より)

医薬品の特許出願などで広く活用される「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」ですが、
侵害訴訟における権利範囲については、
「物質同一説(できたものが同じなら、製法が異なっても侵害とする)」と
「製法限定説(できたものが同じでも同じ方法で製造した場合に限られる)」の
2つに司法判断が分かれていました。

今回は、原則「製法限定説」でありながら、
「物質同一説」摘要の余地を残した判決となりましたが、
判決文の文言だけを捉えるならば、
何かできたらとにかく出願した方が権利範囲が広くて有利、と考えることもできますね。

乱暴ですみませんが。

ところで、パートナーの石川先生に、
もう少し詳しい判決の内容を聞き、
原審にあたってみたところ、
別のことが分かりました。

本事件に係る発明についての、出願当初の特許請求の範囲には、
製造方法の記載がない物と、
製造方法の記載がある物の双方に係る請求項が含まれていましたが、
製造方法の記載がない請求項について進歩性がないとして拒絶査定を受けたことにより、
製造方法の記載がない請求項をすべて削除し、
その結果特許査定を受けるに至っているのです。

つまり、原告(控訴人)は、
特許権に係る製造方法の成果物のみを「物」の発明として出願した部分については、
特許性がないという特許庁の判断に従っており、
にもかかわらず、訴訟においては、
「物」としての特許権を主張しているわけです。

これは、権利濫用だけで切り捨ててもいいような気がします。

こちらも、乱暴ですみません。

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2012年1月10日火曜日

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

本日が本格的な仕事始めの方もあるかと思います。
本年もよろしくお願いいたします。

今年は、「荒れる成人式」のニュースがなかったですね。
震災効果の一つでしょうか。

AKB成人式のニュースが多いのには、ちょっと辟易しましたが。

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2011年12月21日水曜日

ウィニー開発者の無罪確定へ 最高裁、検察の上告棄却

インターネットを通じて映像や音楽を共有するソフト「ウィニー」を開発し、著作権法違反の幇助(ほうじょ)罪に問われた元東京大大学院助手・金子勇被告(41)の上告審で、最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は、有罪を求めていた検察側の上告を棄却する決定をした。19日付。無罪とした二審判決が確定する。
金子元助手は2002年5月、自ら開発したウィニーをインターネットで公開。03年9月、松山市の無職少年(当時19)ら2人=著作権法違反の罪で有罪=がウィニーでゲームソフトや映画をダウンロードし、不特定多数へ送信できるように手助けした、として起訴された。
06年12月の一審・京都地裁判決は「著作権者の利益が侵害されるのを認識しながら、ウィニーの提供を続けていた」として罰金150万円の有罪とした。一方、09年10月の二審・大阪高裁判決は「著作権侵害が起こると認識していたことは認められるが、ソフトを提供する際、違法行為を勧めたわけではない」として、無罪としていた。(asahi.com2011年12月20日17時12分 写真も)

警察や検察は、犯罪者を作ることが目的ではないはずです。
これが有罪になるとすると、技術開発へのモティベーションをくじくことにもなりかねません。
技術自体には善悪はないのです。

話はちょっと違いますが、医療過誤で産婦人科医を逮捕した後、産婦人科医が激減し、出産難民が発生しました。
証拠隠滅のおそれも逃亡のおそれもなかったのに逮捕したものだから、日夜リスクを背負いながら激務をこなすお医者さんの中には、これでは続けられない、という危惧が広がったのでしょう。

もちろん警察官や検察官の大半は、社会秩序を守るために働いているのですが、中に功名心に駆られる人がいると、時に行き過ぎが発生します。

そういえば、庶民感情も「他罰的」になっていたり、さらに「厳罰化」傾向があるようにも感じます。

いざという時に自分にはね返ってくるかもしれない問題です。

「汝らのうち、まず罪なき者のみ、あの女を石もて打て」(ヨハネ伝福音書8章7節)

人を責める前に、まず自らを省みるようにしたいものです。難しいけど。


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2011年12月17日土曜日

冷温停止状態とは?

新しい言葉や、難しい言葉を使う場合、その言葉をどういう意味で使うのか、という定義が分からなければ、その言葉の意味は分かりません。

日本政府は、「冷温停止状態」を通常運転の際の定義と同じ言葉であるにもかかわらず、無理矢理違う定義をし、言葉だけで、事態が解決に向っているような印象を与えようとしています。

しかし、いまだに原子炉内部の正確な状況も不明なのに、外部からの表面的な観測数値で「冷温停止状態」と言ってしまっていいのでしょうか。

ことは原発事故であり、放射性セシウムなどの放射性物質は危険な上になかなか自然消滅しないのですから。

目をつぶってしまったらといって、そこにあるものがなくなるわけではないのに。

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