2012年5月29日火曜日

読書は脳のマッサージ


19年前に出た本ですが、久しぶりに再読しました。

実は、この本には「大学は何をするところか」と題した文は掲載されていません。

日高先生の論文やエッセイ、対談を集めた本なのですが、それを通読すると、まさしく「大学は何をするとことろか」が描かれています。

その意味では、編集者のセンスも大したものです。
こういう本を読むと「編集著作権」の意味を体感できます。

著作権法第12条 編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。

ちなみに、「大学は何をするところか」と題する文は、40年前に刊行された「人間に就いての寓話」に所収されています。

国立大学が社会に負っている義務とは、社会の現状を維持するための分業に携わることだけではなく、むしろ将来を見通すことに専念することである。
これは、将来を見通す役割の分業が、現状を維持する分業よりえらいということではない。
しかも、将来を見通す分業は不可避的に、その研究成果を発表することが現在の社会にとって必ずしも愉快でなく、多かれ少なかれ迫害を受けるというリスクを負う。
それは、殉教者的精神により行うものではなく、分業に伴う平凡なリスクであり、ただ、他の分業では注意によって回避したり、不可抗力としてあきらめることができるのに対し、このリスクを回避すれば、将来を見通すという分業自体が成立しなくなる。

私の要約では分かりにくいかもしれませんが、実にさわやかな宣言だと思います。

しかし、法人化された国立大学(もちろんまだ多くの国費が投じられていますが)が、果たしてこの機能をこれから果たし続けることができるのか。
そもそも、法人化する段階で、このような議論はあったのか。

不勉強なもので、疑問を発するだけになりますが、たまにはこういう本を読むと、脳のマッサージになります。
正直脳がかなり「こって」いて、マッサージを受けると痛かったです。

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