2014年7月15日火曜日

営業秘密について

(2014年7月13日朝日新聞デジタルより)

ベネッセの顧客情報の大量流出事件で、警視庁は不正競争防止法違反の容疑で近く強制捜査に入ります。

営業秘密を不正取得し、それを開示したことが対象となりますが、「不正の利益を得る目的」等を有していたことが必要です。

データを持ち出したとみられるSEが、「お金がほしかったから」と供述しているようなので、この点はクリアできるでしょうが、「営業秘密」であったかどうか、も立証しなければなりません。

裁判例によると、その情報が「営業秘密」であると認められる要件は、以下の3点です。

①秘密管理性 
 ㊙の判が捺され、鍵のかかるロッカーにしまわれて誰が閲覧したか記録されていたり、データベースへのアクセス制限がされてアクセスログが残っているなど、秘密であることがわかり、勝手に持ち出すことができないように管理されていなければなりません。
 会議でコピーを配って、「これは外部に出すなよ」と言った、という程度では、認められない可能性があります。

②有用性
 その情報が、重要な技術情報であったり、他社が持っていない顧客リストであったりするなど、実際に役に立つものでなければなりません。
 秘密に管理されていても、その内容が陳腐になった技術や、古くなって役に立たない名簿等であれば、認められない可能性があります。

③非公知性
 実際に秘密状態であることも必要です。
 上記2要件を満たしていても、秘密管理される前に、不特定多数の第三者の目に触れていたものであれば、認められません。

報道によれば、上記3要件は満たされていたのではないかと思われます。

ちなみに、個人への罰則は、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、又はこれらの併科(両方とも適用すること)です。

ビッグデータの活用の機運が盛り上がってからかなり経ちますが、流出させた人間を罰しても、失った信用は戻りません。
個人を相手に損害賠償を請求できたとしても、十分な回収はまず不可能です。


今回の事件の容疑者のSEも、子会社の外注先の派遣社員ですね。
信用を守るためには、人件費コストをきちんとかけることも必要なのではないでしょうか。