2013年12月31日火曜日

本年もお世話になりました

今日で2013年も終わりです。

今年もお世話になりました。

最近は事務所のサイトのTopicsばかり更新していて、blogの更新をさぼっておりました。

なにしろ、その性質上、ネタがかぶるもので。

実際、少しは変えたものの、かぶってしまったものもありました。

事務所のサイトにはなじまないけれど、知財的なネタがあれば、また更新します。

来年もよろしくお願いいたします。

朝陽特許事務所所長 弁理士 砂川惠一 
107-0052 東京都港区赤坂2-8-16 赤坂光和ビル4 
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2013年9月17日火曜日

本名と商標-「加護亜依」商標を考える-

1.商標登録第5287159号「加護亜依」
 日刊スポーツ(nikkansports.com2013年8月21日8時34分)の記事からです。
 
「加護亜依」商標登録済みで本名使えず!?
 元モーニング娘。の加護亜依(25)の活動再開について、前所属事務所側が20日、「加護亜依」の名前を既に商標登録しており、その名前で活動した場合、道義的責任を追及する考えがあることを明らかにした。
 加護は新事務所のもとで活動再開すると発表しているが、前所属事務所関係者はこの日、名前を09年12月11日に商標登録しており、19年まで有効と主 張した。「加護亜依」は本名で、芸名として使用することは問題ないと一部で報じられたが、関係者は「商標登録時点で加護は母方の池田姓を名乗っており、本 名ではなかった」と反論。さらに11年に池田から突然、父方の加護に姓を戻したと説明した。加護が当時一部メディアに移籍を明言した経緯もあり「事務所を 飛び出した後に姓を戻し、本名だから商標登録に関係なく使えるというのは筋が通らない」としている。
 今後、加護を起用したテレビ局などに対して「道義的責任を追及したいので、芸名の使用料を請求する」とも話した。
 
 登録状況を確認してみます。
 
 【登録番号】 第5287159号
 【登録日】 平成21年(2009)12月11日
 【出願日】 平成21年(2009) 2月17日
 【標準文字商標】 加護亜依
 【権利者】
 【氏名又は名称】 株式会社メインストリーム
 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
 41類 演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,歌唱の上演,ダンスの演出又は    上演,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作     又は配給,放送番組の制作,(以下略)
 前所属事務所関係者の述べた通り、確かに商標権は存在しています。
 さて、では上記の記事を読んで、違和感を疑問を感じた点について考えてみます。
 
2.商標の「使用」についての本名と商標権の関係
 商標権の侵害とは、使用権原のない他人が、登録商標と同一又は類似の商標を、その指定商品又は役務(サービス)と同一又は類似の商品又は役務に使用することを言います。
 しかし、その例外規定として、商標法26条1項1号には以下の規定があります。

 商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となっているものを含む。)には、及ばない。
 一  自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標
 
 加護亜依という名前は、彼女の「現在の」本名だそうですから、この規定によれば「普通に用いられる方法」で使用している限りは、商標権は及びません。
 ただし、テレビ局は彼女本人ではないので、番組に彼女を起用した場合に、商標としての使用をすれば、侵害の可能性があります。
 とはいえ、出演者名としてテロップやスーパーインポーズに普通の書体で表示するだけならば、それは商標としての使用(商標機能の発揮)であるのかどうか、微妙なところです。
 
 商標の「使用」に該当するためには、その使用態様により、商標の「機能」が発揮されていなければなりません。
 商標の機能とは、自他商品・役務の識別力その商標が使用される個性化された一群の商品または役務が、他の商品群または役務群から識別できること)を前提とした、下記の3つの機能をいいます。
 
(1) 商品または役務の出所表示機能(誰が、どこの会社がその商品・サービスを提供して  いるかがわかること)。
(2) 商品または役務の品質保証(その商標が付された商品・サービスは、一定の品質が保証 されていると認められていること)。
(3) 広告・宣伝機能(その商標が付されていることを手がかりとして、その商品を購買する、ま たはそのサービスの提供を受ける意欲を起こさせること)。
 
 あくまで、上記の登録された指定役務についての、上記の機能の発揮でなければ、侵害には該当しません。 
 
 ところで、商標法26条には第2項があり、以下のように規定されています。
 前項第一号の規定は、商標権の設定の登録があった後、不正競争の目的で、自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を用いた場合は、適用しない。
 商標登録後に、その商標の信用にただ乗りして、自分の本名を使用することはできません。
 登録後の改姓がこれに当たるのかどうか。
 これも微妙なところです。
 
 ところで彼女は結婚していますが、お相手の男性が加護姓に入っているそうです。
 
3.登録についての本名と商標の関係
 ところで、勝手に他人の本名を商標登録できるのでしょうか。
 商標法4条1項8号に、他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の 承諾を得ているものを除く。)は商標登録を受けることができない、という規定があり、本人の承諾なしに勝手に登録を受けることはできません。
 ただ、当時は本名が池田姓だったということで、「承諾」を得る必要がなかったので、無事登録を受けられたのだと思います。 
 
 現在の商標権の存続期間は、19年2月11日までですが、更新の申請を行えば、さらに10年延長することができます。
 更新の際は「申請」です。
 出願と違い、登録要件の判断はされませんので、登録料を納付して手続きすれば延長されます。 
 
4.前所属事務所はいつまで商標権を維持できるか
 登録商標に無効理由(商標法3条や4条に定められた、登録を受けられない理由があれば、商標登録無効審判を請求することができます。
 審査で無効理由が発見されず、誤って登録された(過誤登録)された商標について、その登録を無効にすべきことを求めて、請求する審判です。
 
 しかし、この商標登録出願時には彼女の本名が「池田亜依」だったのであれば、商標登録無効審判を請求して、無効にするのは難しいかもしれません。

 ただし、3条1項8号には「著名な芸名」も含まれます。

 2000年から2004年ごろにかけて、彼女の所属するモーニング娘。は人気絶頂でしたし、また、彼女は脱退後にも未成年者喫煙やそれによる休業、復帰 などで芸能記事をにぎわしていましたから、出願時の09年2月11日には「著名」であったと判断される可能性もあります。
 加護亜依の名はアップフロントエージェンシー(現・アップフロントプロモーション)所属のころから使用しており、メインストリームに移籍してから使用し始めたわけではありません。
 もし本人の承諾なく出願していたのなら、過誤登録で(ダジャレじゃないですよ)、無効理由があることになります。 
 
 また、商標法50条には、不使用取消審判という制度があります。
 登録商標を3年以上指定商品又は指定役務に使用していなければ、商標登録の取消し審判を請求することができます。
 
 商標の価値とは、商標それ自体にあるのではありません。
 商標を使用したことによって、その商標に業務上の信用が蓄積して、上記の機能を発揮するようになった、その信用を保護するのです。
 ですから、3年も使用していなければ、せっかく蓄積した信用もなくなってしまうので、取り消すことを請求することができるのです。

 指定役務の内容を見ると、歌謡ショーや演劇など舞台関係の公演は、本人がすでにメインストリームに所属していない以上できません。
 所属当時の映像についての権利をメインストリームが保有していて、その上映会を開催すれば、登録商標の指定役務への使用に該当しますが、ビジネスとして成立するかどうか。
 赤字を出してまでやることではないようにも思えます。
 メインストリームが何らかの形で登録商標「加護亜依」を使用しないと、現在の存続期間の満了までに取消し理由が発生してしまいそうです。 
 
5.自分の名前は自分で登録しましょう
 この文章をお読みの方の大半は、プロダクションに所属して芸能活動を行う予定はお持ちでないでしょう。
 ですから、自分の本名を登録することについては、心配は要らないと思います。

 しかし、自分の(勤務する)企業名称や、商品名・サービス名について商標登録がされているかどうか、他人が類似の商標権を保有していないかどうかの確認は、一度なさった方がいいと思います。
 自分の会社名、商品名、サービス名をブランドとして育てていくためには、独占排他権である商標権の取得は不可欠です。

 そこで、自分が会社を設立したり、新商品新サービスの提供を始めたりする前には、その商標が登録要件を備えているか(独占排他権である商標権を取得できるか)、他人の類似の商標権が存在していないかどうか(その商標を使用できるか)を確認しておくことが重要です。 
 
 出願と登録にかかる費用は、指定商品(役務)が1つであれば、当事務所では総額12万円~15万円程度で(調査費込み)、登録されれば商標権は10年間存続します。
 1年分はその10分の1です。

 後から争いが発生すれば、場合によってはそれをはるかに超える費用がかかります。
 転ばぬ先の杖として、まずはお気軽に、ご相談ください。
 
特許・実用新案・意匠・商標の出願、その他申請、知的財産についてのご相談、承ります。
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2013年7月1日月曜日

起業家のための商標登録のすすめ ~後出しじゃんけんに負けないために~



1.自分の社名に差止請求?

ある法人Aのお話です。
法人Aは平成179月に都内で開業し、数年間営業努力を重ね順調に業績を伸ばしてきました。
ところが平成22年になり、突然、社名の使用の差止と損害賠償を請求する裁判を起こされてしまいました。
根拠となった商標権は、Aの開業後の平成17年の11月に出願され、翌年の6月に登録されています。
原告は、個人である商標権者Bと商標権者から独占的通常使用権のライセンスを受けた関西にある法人Cでした。
その法人Cが、その登録商標を使用し始めたのは、平成18年の2月です。

その裁判でA1審で敗訴し、2審の途中で1審での認定額より多い賠償額で和解することになってしまいました。

また、個人経営で平成1111月から開業していたDに対し、平成185月に出願し翌年の6月に登録された商標権に基づいて、法人Eから屋号の使用停止を求める内容証明郵便が届いた件もあります。
使用停止を求められたのは平成23年のことです。

Eの商標登録出願時に、D6年半ほど屋号を使用しており、使用停止を求められた時点では約12年も経っていましたが、やむなく平成241月に屋号を変更することになってしまいました。

確かにAの件も、Dの件も、登録商標との類似、指定商品・役務との同一性から、形式的に商標権の侵害は成立します。

けれど、自分の方が早くから使っていたのに、また、そもそも自分の営業主体の「名称」であったにもかかわらず、他人の商標権を行使されてしまったのでは何故でしょうか。

2.商号と商標の関係

起業する際に、個人商店であろうが、法人であろうが、必ず「商号」は使用することになります。
法人で起業する際には、会社の登記を行いますが、その際の会社名が「商号」となります(会社法61項)。

新会社法の施行に伴い、他人が登記した商号を同一市区町村内において同一の営業のために登記することができないという規制(旧商法第19条、旧商業登記法第27条)は廃止されました。

他人の登録を排除する効力としては、登記した商号と同一であり、かつ、その営業所の所在場所が同一である場合という、狭い範囲にしか及びません(商業登記法27条)。
他人の使用を排除する効力としては、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用した場合に、差止請求ができます(商法12条)。
また、他人の商号として周知なものと同一又は類似の商号を使用等して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為は、不正競争として差止の対象となります(不正競争防止法21項、31項)。
つまり、商号の場合は事前的(登記)効力を生かして他人の使用を差止めするためには、他人に「不正の目的」があることを立証することが必要です。
不正競争防止法の場合は、あくまで事後的な措置となり、基本的には裁判所の判断を仰ぐことになります。まず自己の商号の「周知性」の立証、そして「混同」の立証が必要となります。

登録商標であれば、出願し審査を受けて設定登録された場合は、その段階で権利が保証されます。
他人の登録を排除する効力としては、登録商標同一又は類似の商標であって、その商標登録に係る指定商品・役務と同一又は類似の商品・役務について使用をするものは、登録を受けることができません(商標法4111号)。
他人の使用を排除する効力としては、登録商標と同一又は類似の商標であって、その商標登録に係る指定商品・役務と同一又は類似の商品・役務について使用をすると侵害となり(商標法25条、371号)、差止の対象となります。
つまり、事前的(登録)手続きだけで、「不正の目的」や「周知性」、「混同」を立証する必要もなく、商標と指定商品・役務の類似範囲まで差止めすることができるわけです。
そして、効力範囲は日本全国に及びます。

3.先使用権などが認められない場合とは

前項で述べたとおり、従来は旧商法第19条と旧商業登記法第27条により、自己の商号と類似の商号が同一市区町村内において同一の営業のために登記されてしまうことはありませんでした。
しかし、改正後は自己の登記した商号と同一であり、かつ、その営業所の所在場所が同一である場合以外は、たとえ隣のビルであっても登記されてしまいます。

また、それに伴い後から商号登記した他人が、先に商標登録出願をした場合、自己の商標としては未登録の商号が、隣接県で周知性を獲得しているレベルでなければ、他人の商標が登録されてしまい、場合によっては使い続けてきた商号を使用できなくなる場合があるのです。

商標の場合、先使用権(商標法32条)は、他人の登録商標の出願前に隣接県レベルの周知性を獲得していなければ認められません。
この立証は、実際はかなり困難であり、その手間と費用は商標登録にかかる手間と費用の何倍にもなるのが普通です。

また、商標法26条に商標権の及ばない範囲として「自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標」が定められていますが、例えば、会社名から「株式会社」をはずした表記は「略称」となってしまい、26条で保護を受けるためには「著名」であることが必要となります。

商標なら、「株式会社」抜きで登録することができます。
「著名」であることは必要ありません。

これから起業なさる皆様が、順調に業績を伸ばした後で、後出しじゃんけんに負けるような形で、社名、店名、商品名などが使えなくなると、信用回復にはたいへんな手間と費用がかかります。
また、後出しじゃんけんではなく、起業前に考えている社名と類似の社名などが、既に同業者によって商標登録されている場合もあります。
この場合は、営業を開始するとともに、商標権侵害状態が始まってしまいます。
そして、順調な業績を積み上げた何年後かに、他人にその果実を摘み取られてしまうかもしれません。

起業はたいへん忙しいものですが、社名の事前調査も含めて、商標登録出願をご検討なさることをおすすめいたします。

4.費用について

印紙代は、出願の際に1出願につき3,400+指定商品・役務1区分につき8,600円、登録の際は指定商品・役務1区分につき37,600円(10年分)です。

弁理士を代理人として出願する場合は、別途手数料がかかります。

私どもでは、起業家や知的財産権に不慣れな中小企業向けに、手数料のサービスパックをご用意いたしました。


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2013年6月25日火曜日

脱力時計

1本3,990円から、といいますから、本家フランク・ミュラーより何桁も安いです(笑)。

大阪発のパロディー商品です。

週刊朝日7月5日号によれば、本家の代理店「ワールド通商」では、「否定的にはとらえていません。フランク・ミュラー自体、業界の概念を覆す奇想天外な発想で世に出てきた時計ですから。方向性は全く違いますが……」という「大人の対応」をしているようです。
確かに本家の文字盤の方が、奇想天外ですね。

 本家が争う姿勢を見せないので、こんなことにはならなそうです。



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2013年6月21日金曜日

遺伝子の特許が認められなかった件について

朝日新聞digital(2013年6月14日)に、「遺伝子の特許認めず バイオ産業戦略に影響 米最高裁」という記事が出ています。

乳がんや卵巣がんのリスク検査に使用する遺伝子が、自然に存在するものであるので、特許としては認められない、という判断です。

特許は「発明」に対して付与されるものであり、自然に存在するものに対して付与されることはありません。
だから、遺伝子それ自体への特許は無効であると判断されたわけです。

ただし、その遺伝子を分離する方法や、そのための装置、そしてその遺伝子を用いて検査する方法や、検査のための装置があったとすれば、それについては「発明」性は否定されません。

発明の対象が「物」であるならば、その「物」は作り出されたものであることが必要です。

例えば、レアメタルを用いた製品が特許を取ることはできますが、レアメタル自体は自然界に存在しているものであって、難しいのはそれを見つけたり分離したりすることです。
従って、新種のレアメタルを苦労して発見したとしても、そのレアメタル自体は特許の対象にはなりません。

くどいようですが、そのレアメタルを分離する方法や、そのための装置、そしてそのレアメタルを用いた特定の性質を有する素材や、その素材を使用した製品は、十分に特許の対象となります。

一方で、自然界に存在しない元素を、人工的に作ることができれば、それは特許の対象となります。
遺伝子についても同様です。

今回の判決があっても、人工的に組み替えの行われた遺伝子についての特許などは、無効となるわけではありません。

対象が遺伝子であるかどうか、が重要なのではなく、人工的に作り出されたものであるかどうか、が重要なのです。


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2013年6月7日金曜日

職務発明の特許権を原始的に企業に帰属させることが検討されています

本日閣議決定される「知的財産戦略に関する基本方針」で、職務発明に係る特許権を「企業に帰属」するか、「企業か従業員のどちらに帰属させるか契約で決める」の2案を明記するそうです(朝日新聞6月7日付朝刊より)。

著作権の場合は、元々「職務著作」は原則として法人等に属するものとされています。
署名原稿であるかどうかは関係ありません。

現在までは、従業員等が職務上行った発明であっても、「特許を受ける権利」は原始的に従業員等に帰属します。
勤務規則や契約で、あらかじめ「特許を受ける権利」や「特許権」などを企業に承継させるように定めることについては、「相当の対価」を支払うことを条件に、認められています。

記事では「特許権の帰属をめぐっては、対価の金額が少ないと従業員が企業を訴え、企業が高額の対価や和解金を支払うケースが相次」いだことがこのような方針が打ち出された原因であると述べています。

もう少しその背景を詳しく説明しましょう。

現在では、ほとんどの発明は企業の研究施設で行われています。
研究者の給与、施設への設備投資、研究にかかる経費などは、すべて企業が負担しています。
先行技術の調査などの情報収集も、研究者本人ではなく、企業が組織として行います。
また、研究の担当者が一人であることもほとんどありません。
チームを組んで開発に当たります。

特許を受けることのできる発明をするためには、安定した投資と地道な共同作業が必要とされているのです。

また、発明を利用した製品がヒットしたとしても、発明の内容だけで売れたのではない場合がほとんどです。

生産施設への設備投資、流通・販促の経費、広告効果、時代の要請とのマッチングなど、複雑な要素が絡み合っています。
このようなものへの投資もすべて企業が行っています。

それに対して、発明の対価の額についての訴訟では、時として驚くほど高額を支払うべしとの判決が相次ぎました。
青色発光ダイオード訴訟の1審など、非常識といって差し支えないと思います。

このような事情を背景として、経団連などの産業界からの要請を受けて、この方針を打ち出すことになったとのことです。

ただ、以上のような背景があるとはいえ、やはりブレークスルーを起こすのは、人間の頭と心であることに変わりはありません。
記事でもモチベーションの低下、頭脳流出の懸念に触れていますが、研究開発の分野に限らず、「人」は企業の歯車ではないので、慎重な対応が求められるべきだと思います。

行政の都合で司法に容喙することは本来慎むべきことですが、司法の側も、研究開発の現場の事情をきちんと理解した上で、対価の額について十分に検討して判断してほしいです。
何しろ行政側は立法府とほぼ一体となっていますので、「判決が気に入らないから法律を変える」ことができるのですから。

特に特許法については、国民の関心は高くないですからね。

あ、これって、メディアの自主規制と法規制の関係にも似ているので、危険な考え方なんですけれど、特許法は「産業財産権法」なので、人格権に関する「表現の自由」とは扱いが違う、ということはあると思います。

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2013年5月16日木曜日

大分県の「おんせん県」に拒絶理由通知

大分県が商標登録出願していた「おんせん県」(商願2012-85758)に対し、拒絶理由が通知されたそうです。

標準文字での出願で、指定商品・役務は、
30類 菓子、39類 観光業など、41類 娯楽施設の提供、43類 宿泊施設の提供など、44類 入浴施設の提供
です。

毎日.jp(05月16日 12時19分) によれば、拒絶理由は「『温泉県』という言葉は他県でも使われてきた実績があり、温泉が多いという程度の意味合いに過ぎない」ということで、要するに識別力・独占適応性がない、ということですね。

上記の図形商標なら登録を受けられたと思いますが、標準文字では難しいと思います。

大分県は事前に他県に「商標登録が認可されても、他県に対して使用を禁止しない」との文書を送っていたのですが、基本的に独占になじまないことが分かったのですから、みんな天下晴れて堂々とアピール合戦をすればいいのではないでしょうか。

最後に温泉に行ったのはいつだったかな……。


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2013年4月26日金曜日

「売れる通販トピック」DIRECTAに寄稿しました。

DIRECTAは、株式会社ファインドスターと、その関連会社グループで運営する、通販のビジネスモデル・ノウハウ情報が掲載されたサイトです。

通常は、通販の売上をどうやって増やすか、などの記事が寄稿されていますが、攻撃(フォワード)的なお話だけでなく、守備(ディフェンス)的なお話も必要かと考え、寄稿しました。

ものづくりを行う会社にとって、特許権侵害のリスクは、時に致命傷となることがあります。
「侵害される」リスクではなく、知らずに「侵害してしまう」リスクがあります。

2回に分けて掲載されます。
第1回は、特許権を侵害警告を受けた場合の対応についてです。

どうぞお読みになってください。

ここをクリックして、お読みください。

なお、私どもの事務所では、パテントマップを利用した特許戦略だけでなく、デザインパテントマップを利用したデザイン(意匠)戦略の策定もお手伝いしております。

興味のある方はお気軽にお声をおかけください。



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2013年4月2日火曜日

韓国でダイソーの商標権侵害の主張が認められました

韓国に「ダサソー」という格安雑貨店があり、「ダイソー」に訴えられていたそうです。

運営会社は、「全部買え」という意味の韓国語の方言で、「観念」が非類似だと主張しているそうですが……。

ま、そのネーミングでは、少なくとも日本に展開することはできませんね(笑)


ところで、私どもの事務所では、パテントマップを利用した特許戦略だけでなく、デザインパテントマップを利用したデザイン(意匠)戦略の策定もお手伝いしております。

興味のある方はお気軽にお声をおかけください。


特許・実用新案・意匠・商標の出願、その他申請、知的財産についてのご相談、承ります。
朝陽特許事務所   http://www.choyo-pat.jp/
弁理士 砂川惠一 sunakawa@choyo-pat.jp
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発明品のマーケティング・広告宣伝から、ビジネスモデルの構築も含め、何でもご相談ください。
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弁理士試験受験者のカウンセリング、口述試験の個人指導など、ご希望の方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください。
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2013年3月9日土曜日

笑いごとではすまなかった……

スターバックスの旧ロゴをパクった元ガールズバー経営者が、商標法違反で書類送検されました。

昨年5月から今年1月まで、千葉県東金市内で営業していたガールズバーで、上掲の左のロゴを、上掲の中央のような使用等をしていたとのことです(上掲左と中央は、朝日新聞に千葉県警が提供)。

上掲右が、2011年春まで使用されていたロゴですが、使用をやめた後でも、商標権は生きています。

しかも、民事だけでなく、刑事罰の適用もあります。
安易なパクリは危険ですのでご注意を。


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2013年2月15日金曜日

ロクラク、まねきTV(日本のテレビ番組をインターネット経由で海外に転送するサービス)の敗訴が確定

最高裁は13日、日本のテレビ番組をインターネット経由で海外に転送するサービスを行っていた「ロクラク」運営会社「日本デジタル家電」と「まねきTV」運営会社の「永野商店」の上告を棄却し、両社の敗訴が確定しました。

著作権の「間接侵害」については、いわゆる「カラオケ法理」が十分に正当化されているとはいえません。

司法救済ワーキングチームが検討した「『間接侵害』等に関する考え方の整理」によれば、差止請求の対象として位置付けるべき間接行為者の類型として以下の3つが挙がっています。
(ⅰ)専ら侵害の用に供される物品(プログラムを含む。以下同じ。)・場ないし侵害のために特に設計されまたは適用された物品・場を提供する者
(ⅱ)侵害発生の実質的危険性を有する物品・場を、侵害発生を知り、又は知るべきでありながら、侵害発生防止のための合理的措置を採ることなく、当該侵害のために提供する者
(ⅲ)物品・場を、侵害発生を積極的に誘引する態様で、提供する者

しかし、いまだ異論も多く、結論には至っていません。

著作権者側は、現在の状態の方が権利を主張しやすいのですが、新たなサービスを提供しようとする側では、権利行使されない範囲を明確にして欲しいと望むからです。

技術革新と法律の関係では、いつも法律が追いかける立場にならざるをえません。

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