2013年6月21日金曜日

遺伝子の特許が認められなかった件について

朝日新聞digital(2013年6月14日)に、「遺伝子の特許認めず バイオ産業戦略に影響 米最高裁」という記事が出ています。

乳がんや卵巣がんのリスク検査に使用する遺伝子が、自然に存在するものであるので、特許としては認められない、という判断です。

特許は「発明」に対して付与されるものであり、自然に存在するものに対して付与されることはありません。
だから、遺伝子それ自体への特許は無効であると判断されたわけです。

ただし、その遺伝子を分離する方法や、そのための装置、そしてその遺伝子を用いて検査する方法や、検査のための装置があったとすれば、それについては「発明」性は否定されません。

発明の対象が「物」であるならば、その「物」は作り出されたものであることが必要です。

例えば、レアメタルを用いた製品が特許を取ることはできますが、レアメタル自体は自然界に存在しているものであって、難しいのはそれを見つけたり分離したりすることです。
従って、新種のレアメタルを苦労して発見したとしても、そのレアメタル自体は特許の対象にはなりません。

くどいようですが、そのレアメタルを分離する方法や、そのための装置、そしてそのレアメタルを用いた特定の性質を有する素材や、その素材を使用した製品は、十分に特許の対象となります。

一方で、自然界に存在しない元素を、人工的に作ることができれば、それは特許の対象となります。
遺伝子についても同様です。

今回の判決があっても、人工的に組み替えの行われた遺伝子についての特許などは、無効となるわけではありません。

対象が遺伝子であるかどうか、が重要なのではなく、人工的に作り出されたものであるかどうか、が重要なのです。


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