2013年1月27日日曜日

センター試験になぜ小林秀雄?

1月24日の朝日新聞デジタルによると、今年のセンター試験で、国語の点数がかなり低かったようです。

原因は、あの「小林秀雄」からの出題のせいではないか、とのこと。

しばらく控えられていた小林秀雄の出題が解禁された理由として、予備校関係者の談話が載っていますが、どれも抽象的というか、明確ではありません。

ここで、私なりの推測をさせていただくと、昨年の10月に、丸谷才一さんがなくなられたからではないのか。

丸谷さんは、「完本 日本語のために」の中で、国語教科書や入試問題を批判していますが、その「ⅴ 大学入試問題を批判する」に「小林秀雄の文章は出題するな」があります。

くわしくは同書をお読みいただくとして、丸谷さんは小林秀雄の文章自体を批判しているのではありません。
小林秀雄を出題する側の能力や姿勢を批判しています。

私も最近読み直してみて苦労しましたが、大変な教養人である小林秀雄は、読者のレベルも自分と同様の教養人を想定していて、引用や比喩のレベルが高すぎてついていけなくなることが往々にしてあります。

幸い、今はネット情報が充実していて、また、スマホからも検索できるので、多少は楽が出来るのですが、頭脳に対してウエート・トレーニングをしているような気分になりました。

じっくりと時間をかけて出典を調べたり、読書会を行うなどしながらならともかく、難解な文章のましてや断片を、限られた時間の中で解答する受験にはなじまないと思います。

出題者自身が、どれほど小林秀雄を理解しているというのか。
多少なりとも理解していれば、受験に出そうとはしないと、私は思います。

ご意見番がいなくなると、悪問復活では、受験生が気の毒です。


特許・実用新案・意匠・商標の出願、その他申請、知的財産についてのご相談、承ります。
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弁理士 砂川惠一 sunakawa@choyo-pat.jp
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2012年12月31日月曜日

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。


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2012年12月21日金曜日

知的財産権との出会い

十数年前のことです。
当時勤めていた会社で、ユニフォームのデザインコンペを担当しました。

それまでの業界常識と比べ、かなり斬新なデザインが採用され、イメージ一新の効果を挙げることができました。

その頃、寒冷地の支社から、地元業者がもっと廉価に製作できるので、そちらにやらせてもいいか、との問い合わせを受けました。
即、却下したのは、いうまでもありません。

提案者は、経費節減という会社の利益になる提案をなぜ却下するのか、と不審がりました。

私は、著作物を売って利益をあげている会社の社員から、そのような矜持も大局観もない提案が出ることのほうが不審でした。

デザインに要した手間と経費だけでなく、営業担当者も含め人的投資をして、公正なコンペで勝ち取った受注を、なんと心得るのか。
そんなことを許せば、今後のコンペできちんとした提案が出るのか。

当時の私は、知的財産権関係の法律の、一文字たりとも知りませんでした。

ただ、人が創造したものの価値を認めていただけです。

特許法が保護する「発明」、意匠法が保護する「デザイン」、著作権法が保護する「著作物」。
皆、人の心が創り出すものです。
商標法が保護するのは、商標に蓄積した業務上の「信用」ですが、これも人の心が創り出すものと言っていいと思います。

知的財産権とは、「人の心が創り出したもの」を保護するものなのです。

有体物のような、目で見て手で触れるものではありませんが、とても大事なものだと思っています。

年の瀬なので、ちょっとだけ思い出話をしました。

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2012年11月30日金曜日

ファンケルとDHCの訴訟について

ちょっと古い話ですが、今年5月23日に、DHCのマイルドタッチクレンジングオイルとヒットコスメミニセットが、ファンケルの特許を侵害しているかどうかについて、判決が出ました。

判決の概略は以下の通りです。

差止請求については、マイルドタッチクレンジングオイルが成分を変更し、旧製品を既に販売していないこと、ヒットコスメミニセットが季節商品で既に販売されていないことを理由に、棄却されました。

損害賠償請求については、ファンケルの7億1千万円の請求に対し、1億6569万8740円の支払を認めました。

これだけ見ると、特許権の侵害の有無については、DHCに非があるように思えます。

しかし、このDHCの敗訴(便宜上そう呼んでおきます)、実はDHC側の訴訟戦略のまずさが原因と言えそうです。

DHCはファンケルの侵害訴訟の根拠になった特許(第4358286号)に対し、2010年11月5日に特許無効審判を請求しており、2011年5月26日に口頭審理が行われております。

ファンケルからDHCに対して起こした侵害訴訟は、2011年5月31日に、双方の主張立証は終結した旨を聴取した上で、侵害論の審理を終結しております。

ところがその訴訟でDHCは、2011年12月14日になって、上記特許の無効理由証拠を提出しています。
ちなみに上記特許に対し無効審決がなされたのは、2012年1月5日です。

これに対し東京地裁は、この証拠提出は侵害論の審理終結前に提出可能であったと認定し、民事訴訟法157条1項(時期に遅れた攻撃防御方法の却下等)により却下し、その結果上記特許は有効であるとの前提で、上記判決に至っているのです。

無効審決を受けたファンケルは、審決取消訴訟を提起しており、1審敗訴したDHCも控訴しています。
裁判の係属先は、ともに知財高裁です。

ファンケルが無効審決を取り消させることができれば、侵害訴訟の勝訴は維持されると思われますが、無効審決が維持されれば、侵害訴訟は逆転敗訴となる可能性が高いです。

特許侵害を争った訴訟のポイントが民事訴訟法であったということは、DHC内部で知財担当者と法務担当者の連携があまりよくなかったのでしょうか。

まあ、無効証拠が採用されて、侵害訴訟の1審でDHCが勝訴していたとしても、ファンケルは無効審決取消訴訟を提起して、侵害訴訟についても控訴していたでしょうから、裁判自体は続いていたと思いますが、DHCは1審敗訴の汚名を着なくてもよかった可能性が大です。
限定的かもしれませんが、イメージを損なってしまう結果を招いてしまいました。

2012年10月12日金曜日

知的財産権の登録は、転ばぬ先の杖

朝日新聞デジタル(2012年10月7日03時00分)によると、「B―1グランプリ」の人気料理のまがいものが横行しているそうです。

まちおこしに取り組んでいる団体とは無関係な店が、各地の祭りやイベントの露店などでまがい物を販売している場合があるそうです。

団体が定めたレシピなどを守らないので、苦情や問合せが多数寄せられているところもあるそうです。

そこで、ようやく地元の商工会議所などが、商標登録出願を始めて、今後の模倣品販売の歯止めとしようとする動きが進んでいます。

その一方で、B-1グランプリが始まる前から商標登録を済ませているケースもありました。

どちらが模倣品の被害を受けにくいかはお分かりと思います。

自己の商品の信用を大事にしようとするならば、売り出す前から商標登録を検討すべきです。
その際に、既に類似の商標が類似の指定商品について登録されているのを発見できる場合もあります。

それを見過ごして製造販売していると、自己の行為が商標権侵害で訴えられる可能性もあります。

新商品や新サービスを始めようとしている方、新たに法人や個人商店の立ち上げをご検討中の方、お気軽に当方までご相談ください。

初回の相談料は無料です。

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2012年9月21日金曜日

知財判決2件「サトウの切り餅」と「セイロガン」

昨日の判決2件について述べます。

サトウの切り餅については、今年の3月23日にも書きましたが、佐藤食品工業の上告を最高裁が棄却し、知財高裁の判決通り確定しました。

(朝日新聞デジタル2012年9月20日23時13分より)

佐藤食品工業にとってちょっと気の毒だったのは、越後製菓の当該発明の特許出願時の明細書が、煩雑で理解しにくかったことでしょうか。

とはいえ佐藤食品工業は、越後製菓の製品が販売されていることを知っていたわけで、強気に出る前に検討の余地はなかったのかな、と思います。


大幸薬品は、キョクトウが「セイロガン糖衣A」と外観がよく似た薬を売るのは違法だとして、大阪地裁に製造販売の差し止めを求めていましたが、類似しているとはいえないと判断されて敗訴しました。

(朝日新聞デジタル2012年9月21日より)

大幸薬品は、即日控訴したそうですが、いかがなものでしょうか。
判決には不服だが、これ以上裁判を継続するには及ばない、と宣言し、裁判費用を広告費用に振り向けて、「ラッパのマーク」の知名度を高める方が良策かと思うのですが。

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2012年5月29日火曜日

読書は脳のマッサージ


19年前に出た本ですが、久しぶりに再読しました。

実は、この本には「大学は何をするところか」と題した文は掲載されていません。

日高先生の論文やエッセイ、対談を集めた本なのですが、それを通読すると、まさしく「大学は何をするとことろか」が描かれています。

その意味では、編集者のセンスも大したものです。
こういう本を読むと「編集著作権」の意味を体感できます。

著作権法第12条 編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。

ちなみに、「大学は何をするところか」と題する文は、40年前に刊行された「人間に就いての寓話」に所収されています。

国立大学が社会に負っている義務とは、社会の現状を維持するための分業に携わることだけではなく、むしろ将来を見通すことに専念することである。
これは、将来を見通す役割の分業が、現状を維持する分業よりえらいということではない。
しかも、将来を見通す分業は不可避的に、その研究成果を発表することが現在の社会にとって必ずしも愉快でなく、多かれ少なかれ迫害を受けるというリスクを負う。
それは、殉教者的精神により行うものではなく、分業に伴う平凡なリスクであり、ただ、他の分業では注意によって回避したり、不可抗力としてあきらめることができるのに対し、このリスクを回避すれば、将来を見通すという分業自体が成立しなくなる。

私の要約では分かりにくいかもしれませんが、実にさわやかな宣言だと思います。

しかし、法人化された国立大学(もちろんまだ多くの国費が投じられていますが)が、果たしてこの機能をこれから果たし続けることができるのか。
そもそも、法人化する段階で、このような議論はあったのか。

不勉強なもので、疑問を発するだけになりますが、たまにはこういう本を読むと、脳のマッサージになります。
正直脳がかなり「こって」いて、マッサージを受けると痛かったです。

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