2011年9月8日木曜日

「サトウの切り餅」は特許侵害 知財高裁、一転認める

切り餅をふっくら焼き上げるための「切り込み」の特許をめぐる訴訟の控訴審で、知財高裁(飯村敏明裁判長)は7日、「サトウの切り餅」で知られる業界1位の佐藤食品工業(新潟市)が、業界2位の越後製菓(新潟県長岡市)の特許権を侵害したと認める判断を示した。
  最終的な判決の前に、争点を絞り込むため特定の論点について判断を示す「中間判決」。昨年11月の一審・東京地裁判決は特許権の侵害を認めておらず、判断が逆転した。越後製菓は約15億円の損害賠償とサトウの切り餅などの製造・販売の中止を求めており、今後はこれらを認めるかについての審理が続く。
 訴訟は、餅の側面に切り込みを入れる技術の特許を登録している越後製菓が2009年に起こした。側面だけでなく上下面にも切り込みを入れる佐藤食品の製品が特許を侵害するかどうかが主に争われてきた。
 佐藤食品は「特許は側面に限定したもので、上下面にも切り込みを入れるのは別の技術だ」と主張した。しかし、飯村裁判長は「側面の切り込みが特許の内容だが、上下面の切り込みを排除したわけではない」と指摘。佐藤食品の製品は、越後製菓の特許の範囲に含まれると判断した。
 佐藤食品は「02年の特許出願より先に同じ特徴の餅を販売している」と特許の無効も主張したが、飯村裁判長は「側面への切り込みは当時の佐藤食品の餅にはなかった」と退けた。
 佐藤食品は「現時点でも特許権を侵害するものではないと考えており、今後も争う」との談話を出した。(asahi.com2011年9月8日3時27分)

特許公報(第4111382号)を見ると、請求項1は以下のようになっています。

 焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体である切餅の載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け、この切り込み部又は溝部は、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に一周連続させて角環状とした若しくは前記立直側面である側周表面の対向二側面に形成した切り込み部又は溝部として、焼き上げるに際して前記切り込み部又は溝部の上側が下側に対して持ち上がり、最中やサンドウイッチのように上下の焼板状部の間に膨化した中身がサンドされている状態に膨化変形することで膨化による外部への噴き出しを抑制するように構成したことを特徴とする餅。

「この周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け」とありますので、特許発明の技術的範囲は、かなり広く解釈できそうにも思えます。

公開公報(2004-147598)と比較すると、相当の補正がなされていますので、審査段階ではいろいろご苦労があったことがしのばれます。



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