2012年2月16日木曜日

JASRACへの排除措置命令が審判で取り消されました

もう2週間ほど経ってしまいましたが、著作権管理団体「日本音楽著作権協会(JASRAC)」の楽曲使用料の徴収方法が独占禁止法違反にあたるとして出した排除措置命令について、公正取引委員会が取り消す案をJASRAC側に伝えました。

公取委は当初、JASRACがテレビ局などから年間放送事業収入に約1.5%を掛けた金額を楽曲の使用料として徴収する「包括徴収」という方式を問題視しました。

著作権を扱う競合他社が管理する楽曲を放送局が使用する場合、JASRACへの支払額は変わらないが他社への追加出費が必要となるため、放送局が他社の管理楽曲の使用を控え、他社の参入を排除することになるとして、公取委は2009年2月、JASRACの独禁法違反(私的独占)を認定しました。

これに対しJASRACは、公取委に審判を請求し争っていました。

2006年10月に新規参入したイーライセンス社の管理楽曲だった大塚愛さんの「恋愛写真」について、イーライセンス社は「放送各局は追加出費を避けるため、06年10月以降、FMラジオ局を中心に『恋愛写真』をほとんど放送しなかった」などと主張していましたが、JASRAC側は「『恋愛写真』は06年10~12月に少なくとも729回放送され、放送局はイーライセンス社への支払いを追加出費であって負担であるとは考えていなかった」などと反論しました。

審決案はJASRAC側の主張をほぼ認め「放送局が追加負担を考えて楽曲の使用を控えることはほとんどなく、包括徴収が競合他社を排除するような効果があると認めるような証拠はない」と判断しました。

今回の判断について採用された時期は、リーマンショック前でもあり、放送局側も人気アーティストの曲をちょっとぐらいの楽曲使用料で控えることはなかったでしょうが、現在CMが頼りの民法各社の経営はどこも苦しく、今後はどうなるか分かりません。

そういう意味では、イーライセンス社は、参入直後の時期に、しかも立証に対し反証されてしまうような事案で戦うのではなく、じっくり待った方がよかったかもしれません。

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2012年1月30日月曜日

「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」についての知財高裁判決

(表は朝日新聞digital2012年1月28日03時00分より)

医薬品の特許出願などで広く活用される「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」ですが、
侵害訴訟における権利範囲については、
「物質同一説(できたものが同じなら、製法が異なっても侵害とする)」と
「製法限定説(できたものが同じでも同じ方法で製造した場合に限られる)」の
2つに司法判断が分かれていました。

今回は、原則「製法限定説」でありながら、
「物質同一説」摘要の余地を残した判決となりましたが、
判決文の文言だけを捉えるならば、
何かできたらとにかく出願した方が権利範囲が広くて有利、と考えることもできますね。

乱暴ですみませんが。

ところで、パートナーの石川先生に、
もう少し詳しい判決の内容を聞き、
原審にあたってみたところ、
別のことが分かりました。

本事件に係る発明についての、出願当初の特許請求の範囲には、
製造方法の記載がない物と、
製造方法の記載がある物の双方に係る請求項が含まれていましたが、
製造方法の記載がない請求項について進歩性がないとして拒絶査定を受けたことにより、
製造方法の記載がない請求項をすべて削除し、
その結果特許査定を受けるに至っているのです。

つまり、原告(控訴人)は、
特許権に係る製造方法の成果物のみを「物」の発明として出願した部分については、
特許性がないという特許庁の判断に従っており、
にもかかわらず、訴訟においては、
「物」としての特許権を主張しているわけです。

これは、権利濫用だけで切り捨ててもいいような気がします。

こちらも、乱暴ですみません。

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2012年1月10日火曜日

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

本日が本格的な仕事始めの方もあるかと思います。
本年もよろしくお願いいたします。

今年は、「荒れる成人式」のニュースがなかったですね。
震災効果の一つでしょうか。

AKB成人式のニュースが多いのには、ちょっと辟易しましたが。

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2011年12月21日水曜日

ウィニー開発者の無罪確定へ 最高裁、検察の上告棄却

インターネットを通じて映像や音楽を共有するソフト「ウィニー」を開発し、著作権法違反の幇助(ほうじょ)罪に問われた元東京大大学院助手・金子勇被告(41)の上告審で、最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は、有罪を求めていた検察側の上告を棄却する決定をした。19日付。無罪とした二審判決が確定する。
金子元助手は2002年5月、自ら開発したウィニーをインターネットで公開。03年9月、松山市の無職少年(当時19)ら2人=著作権法違反の罪で有罪=がウィニーでゲームソフトや映画をダウンロードし、不特定多数へ送信できるように手助けした、として起訴された。
06年12月の一審・京都地裁判決は「著作権者の利益が侵害されるのを認識しながら、ウィニーの提供を続けていた」として罰金150万円の有罪とした。一方、09年10月の二審・大阪高裁判決は「著作権侵害が起こると認識していたことは認められるが、ソフトを提供する際、違法行為を勧めたわけではない」として、無罪としていた。(asahi.com2011年12月20日17時12分 写真も)

警察や検察は、犯罪者を作ることが目的ではないはずです。
これが有罪になるとすると、技術開発へのモティベーションをくじくことにもなりかねません。
技術自体には善悪はないのです。

話はちょっと違いますが、医療過誤で産婦人科医を逮捕した後、産婦人科医が激減し、出産難民が発生しました。
証拠隠滅のおそれも逃亡のおそれもなかったのに逮捕したものだから、日夜リスクを背負いながら激務をこなすお医者さんの中には、これでは続けられない、という危惧が広がったのでしょう。

もちろん警察官や検察官の大半は、社会秩序を守るために働いているのですが、中に功名心に駆られる人がいると、時に行き過ぎが発生します。

そういえば、庶民感情も「他罰的」になっていたり、さらに「厳罰化」傾向があるようにも感じます。

いざという時に自分にはね返ってくるかもしれない問題です。

「汝らのうち、まず罪なき者のみ、あの女を石もて打て」(ヨハネ伝福音書8章7節)

人を責める前に、まず自らを省みるようにしたいものです。難しいけど。


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2011年12月17日土曜日

冷温停止状態とは?

新しい言葉や、難しい言葉を使う場合、その言葉をどういう意味で使うのか、という定義が分からなければ、その言葉の意味は分かりません。

日本政府は、「冷温停止状態」を通常運転の際の定義と同じ言葉であるにもかかわらず、無理矢理違う定義をし、言葉だけで、事態が解決に向っているような印象を与えようとしています。

しかし、いまだに原子炉内部の正確な状況も不明なのに、外部からの表面的な観測数値で「冷温停止状態」と言ってしまっていいのでしょうか。

ことは原発事故であり、放射性セシウムなどの放射性物質は危険な上になかなか自然消滅しないのですから。

目をつぶってしまったらといって、そこにあるものがなくなるわけではないのに。

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2011年11月29日火曜日

「白い恋人」が「面白い恋人」を提訴

(写真はasahi.com2011年11月29日)

以前ネタにした「面白い恋人」、訴訟になったそうです。
2月3日の日記

やはり商標法単独でなく、不正競争防止法を絡めてきましたね。

さて、どうなることやら、というか、
吉本興業側が無理に突っ張らない限り和解になるのでしょうが。

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2011年11月28日月曜日

弁理士試験答練答案の「古典的文体」


弁理士試験の答案練習会の添削を少しやっています。

今年の合格者の平均年齢が36.5歳であることから考えて、答練参加者の大半はお若い方だと思うのですが、たいへん気になることがあります。

それは答案の文体なのですが、一つの長い文章に、いろいろと盛り込んでいっぺんにやっつけようとするせいで、文章の中で論旨が混乱したり、要件が不十分であったりするのです。

そういう文体についての的確な表現を、浅田次郎著「極道界」の中から見つけました。

「(前略)文節が終わりそうになると無理矢理接続詞をねじ込んで、いたずらに文章を長くする。(中略)このような難解な長文体というものは文章学的に言えば、すでに大正時代の前半に消えて無くなったはずの、古典的文体なのであります。(後略)」

これは、警察及び刑事裁判関係の文書について述べられているものです。
つまり逮捕状、供述調書、起訴状、判決文主文などです。

1980年代末に書かれた文章ですが、その時点で「文章感覚は最低70年ぐらいおくれている」とされています。

弁理士試験受験生の皆様には、くれぐれもそのような文体を避けてほしいと思います。
1文を短く、改行を多くして、シンプルで読みやすい答案を心がけてください。

答練の添削者が読みづらいということは、本試験の採点官にとっても読みづらいのです。

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