ちょっと古い話ですが、今年5月23日に、DHCのマイルドタッチクレンジングオイルとヒットコスメミニセットが、ファンケルの特許を侵害しているかどうかについて、判決が出ました。
判決の概略は以下の通りです。
差止請求については、マイルドタッチクレンジングオイルが成分を変更し、旧製品を既に販売していないこと、ヒットコスメミニセットが季節商品で既に販売されていないことを理由に、棄却されました。
損害賠償請求については、ファンケルの7億1千万円の請求に対し、1億6569万8740円の支払を認めました。
これだけ見ると、特許権の侵害の有無については、DHCに非があるように思えます。
しかし、このDHCの敗訴(便宜上そう呼んでおきます)、実はDHC側の訴訟戦略のまずさが原因と言えそうです。
DHCはファンケルの侵害訴訟の根拠になった特許(第4358286号)に対し、2010年11月5日に特許無効審判を請求しており、2011年5月26日に口頭審理が行われております。
ファンケルからDHCに対して起こした侵害訴訟は、2011年5月31日に、双方の主張立証は終結した旨を聴取した上で、侵害論の審理を終結しております。
ところがその訴訟でDHCは、2011年12月14日になって、上記特許の無効理由証拠を提出しています。
ちなみに上記特許に対し無効審決がなされたのは、2012年1月5日です。
これに対し東京地裁は、この証拠提出は侵害論の審理終結前に提出可能であったと認定し、民事訴訟法157条1項(時期に遅れた攻撃防御方法の却下等)により却下し、その結果上記特許は有効であるとの前提で、上記判決に至っているのです。
無効審決を受けたファンケルは、審決取消訴訟を提起しており、1審敗訴したDHCも控訴しています。
裁判の係属先は、ともに知財高裁です。
ファンケルが無効審決を取り消させることができれば、侵害訴訟の勝訴は維持されると思われますが、無効審決が維持されれば、侵害訴訟は逆転敗訴となる可能性が高いです。
特許侵害を争った訴訟のポイントが民事訴訟法であったということは、DHC内部で知財担当者と法務担当者の連携があまりよくなかったのでしょうか。
まあ、無効証拠が採用されて、侵害訴訟の1審でDHCが勝訴していたとしても、ファンケルは無効審決取消訴訟を提起して、侵害訴訟についても控訴していたでしょうから、裁判自体は続いていたと思いますが、DHCは1審敗訴の汚名を着なくてもよかった可能性が大です。
限定的かもしれませんが、イメージを損なってしまう結果を招いてしまいました。
2012年11月30日金曜日
2012年10月12日金曜日
知的財産権の登録は、転ばぬ先の杖
朝日新聞デジタル(2012年10月7日03時00分)によると、「B―1グランプリ」の人気料理のまがいものが横行しているそうです。
まちおこしに取り組んでいる団体とは無関係な店が、各地の祭りやイベントの露店などでまがい物を販売している場合があるそうです。
団体が定めたレシピなどを守らないので、苦情や問合せが多数寄せられているところもあるそうです。
そこで、ようやく地元の商工会議所などが、商標登録出願を始めて、今後の模倣品販売の歯止めとしようとする動きが進んでいます。
その一方で、B-1グランプリが始まる前から商標登録を済ませているケースもありました。
どちらが模倣品の被害を受けにくいかはお分かりと思います。
自己の商品の信用を大事にしようとするならば、売り出す前から商標登録を検討すべきです。
その際に、既に類似の商標が類似の指定商品について登録されているのを発見できる場合もあります。
それを見過ごして製造販売していると、自己の行為が商標権侵害で訴えられる可能性もあります。
新商品や新サービスを始めようとしている方、新たに法人や個人商店の立ち上げをご検討中の方、お気軽に当方までご相談ください。
初回の相談料は無料です。
弁理士 砂川惠一 sunakawa@choyo-pat.jp
(メールアドレスは、SPAM防止のため全角表示してあります。半角に直してお送りください。)
発明品のマーケティング・広告宣伝から、ビジネスモデルの構築も含め、何でもご相談ください。
パテントマップを活用した特許戦略の構築等も承ります。
Tel:03-3568-3063 Fax:03-3568-3064
まちおこしに取り組んでいる団体とは無関係な店が、各地の祭りやイベントの露店などでまがい物を販売している場合があるそうです。
団体が定めたレシピなどを守らないので、苦情や問合せが多数寄せられているところもあるそうです。
そこで、ようやく地元の商工会議所などが、商標登録出願を始めて、今後の模倣品販売の歯止めとしようとする動きが進んでいます。
その一方で、B-1グランプリが始まる前から商標登録を済ませているケースもありました。
どちらが模倣品の被害を受けにくいかはお分かりと思います。
自己の商品の信用を大事にしようとするならば、売り出す前から商標登録を検討すべきです。
その際に、既に類似の商標が類似の指定商品について登録されているのを発見できる場合もあります。
それを見過ごして製造販売していると、自己の行為が商標権侵害で訴えられる可能性もあります。
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朝陽特許事務所 http://www.choyo-pat.jp/弁理士 砂川惠一 sunakawa@choyo-pat.jp
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2012年9月21日金曜日
知財判決2件「サトウの切り餅」と「セイロガン」
昨日の判決2件について述べます。
サトウの切り餅については、今年の3月23日にも書きましたが、佐藤食品工業の上告を最高裁が棄却し、知財高裁の判決通り確定しました。
佐藤食品工業にとってちょっと気の毒だったのは、越後製菓の当該発明の特許出願時の明細書が、煩雑で理解しにくかったことでしょうか。
とはいえ佐藤食品工業は、越後製菓の製品が販売されていることを知っていたわけで、強気に出る前に検討の余地はなかったのかな、と思います。
大幸薬品は、キョクトウが「セイロガン糖衣A」と外観がよく似た薬を売るのは違法だとして、大阪地裁に製造販売の差し止めを求めていましたが、類似しているとはいえないと判断されて敗訴しました。
大幸薬品は、即日控訴したそうですが、いかがなものでしょうか。
判決には不服だが、これ以上裁判を継続するには及ばない、と宣言し、裁判費用を広告費用に振り向けて、「ラッパのマーク」の知名度を高める方が良策かと思うのですが。
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サトウの切り餅については、今年の3月23日にも書きましたが、佐藤食品工業の上告を最高裁が棄却し、知財高裁の判決通り確定しました。
(朝日新聞デジタル2012年9月20日23時13分より)
とはいえ佐藤食品工業は、越後製菓の製品が販売されていることを知っていたわけで、強気に出る前に検討の余地はなかったのかな、と思います。
大幸薬品は、キョクトウが「セイロガン糖衣A」と外観がよく似た薬を売るのは違法だとして、大阪地裁に製造販売の差し止めを求めていましたが、類似しているとはいえないと判断されて敗訴しました。
(朝日新聞デジタル2012年9月21日より)
判決には不服だが、これ以上裁判を継続するには及ばない、と宣言し、裁判費用を広告費用に振り向けて、「ラッパのマーク」の知名度を高める方が良策かと思うのですが。
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2012年5月29日火曜日
読書は脳のマッサージ
19年前に出た本ですが、久しぶりに再読しました。
実は、この本には「大学は何をするところか」と題した文は掲載されていません。
日高先生の論文やエッセイ、対談を集めた本なのですが、それを通読すると、まさしく「大学は何をするとことろか」が描かれています。
その意味では、編集者のセンスも大したものです。
こういう本を読むと「編集著作権」の意味を体感できます。
著作権法第12条 編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。
ちなみに、「大学は何をするところか」と題する文は、40年前に刊行された「人間に就いての寓話」に所収されています。
国立大学が社会に負っている義務とは、社会の現状を維持するための分業に携わることだけではなく、むしろ将来を見通すことに専念することである。
これは、将来を見通す役割の分業が、現状を維持する分業よりえらいということではない。
しかも、将来を見通す分業は不可避的に、その研究成果を発表することが現在の社会にとって必ずしも愉快でなく、多かれ少なかれ迫害を受けるというリスクを負う。
それは、殉教者的精神により行うものではなく、分業に伴う平凡なリスクであり、ただ、他の分業では注意によって回避したり、不可抗力としてあきらめることができるのに対し、このリスクを回避すれば、将来を見通すという分業自体が成立しなくなる。
私の要約では分かりにくいかもしれませんが、実にさわやかな宣言だと思います。
しかし、法人化された国立大学(もちろんまだ多くの国費が投じられていますが)が、果たしてこの機能をこれから果たし続けることができるのか。
そもそも、法人化する段階で、このような議論はあったのか。
不勉強なもので、疑問を発するだけになりますが、たまにはこういう本を読むと、脳のマッサージになります。
正直脳がかなり「こって」いて、マッサージを受けると痛かったです。
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2012年3月23日金曜日
なぜ「サトウの切り餅」の佐藤食品工業は自己の特許発明を実施できないのか
(朝日新聞digital2012年3月22日20時29分より)
越後製菓が佐藤食品工業に対し、切り餅の「切り込み」の特許権に基づき、製造等差止と損害賠償を求めた事件で、知財高裁は佐藤食品工業に対し、製造販売差止と8億円の損害賠償金支払を命じました。
佐藤食品工業は「切り込み」の入った切り餅について、自己の特許権を持っているのに、なぜ製造販売を差止められ、損害賠償まで払わされるのか、よく分からない方も多いことと思います。
両社の特許発明の技術的範囲の詳細については煩雑になるので略しますが、知財高裁の事実認定では、佐藤食品工業の特許発明は、越後製菓の特許発明の技術的範囲に属する、と認められました。
それでは佐藤食品工業の発明には特許性がなかったのか、と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、そんなことはありません。
越後製菓の発明を利用して、更に新たな技術的思想を創作したものと認められ、特許されています。
「利用」とは、「自己の特許発明を実施すると他人の特許発明等を全部実施することになるが,その逆は成立しない関係」をいいます。
そして、特許権の侵害とは「実施(製造販売等)の権原を有しない第三者が特許発明の発明特定事項をすべて実施をすること」等をいいます。
従って、他人の特許発明を利用する発明を実施することは、たとえその発明について特許権を有していても、侵害となり得るのです。
特許法第72条には、「 特許権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その特許発明がその特許出願の日前の出願に係る他人の特許発明、登録実用新案若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利用するものであるとき、又はその特許権がその特許出願の日前の出願に係る他人の意匠権若しくは商標権と抵触するときは、業としてその特許発明の実施をすることができない。」と規定されています。
従って、どちらが先に登録されたかではなく、どちらが先に出願されたか、によって、優劣が決まります。
出願の経過を整理すると、以下のようになります。
越後製菓 | 佐藤食品工業 | |
出願日 | 平成14年10月31日 | 平成15年7月17日 |
公開日 | 平成16年5月27日 | (平成17年2月10日) |
審査請求日 | 平成15年8月6日 | 平成16年5月14日 |
早期審査請求 | なし | あり |
拒絶査定発送 | 平成18年1月26日 | |
拒絶査定不服審判請求 | 平成18年2月27日 | |
特許査定 | 平成20年4月18日 | 平成16年11月26日 |
佐藤食品工業は、越後製菓の出願より遅く出願していますが、越後製菓の出願公開より早く審査請求し、越後製菓が特許されるより早く特許査定を受けて特許権を取得しています。
それに対し、越後製菓は一旦拒絶査定を受け、かなり大幅な補正を経て拒絶査定不服審判の前置審査で特許査定を受けました。
佐藤食品工業は、越後製菓の出願の存在を知らないうちに審査を請求したので、実施可能性を十分検討していなかったと言われても仕方のない面があります。
このような事態を避けるために、一般には出願してから1年6ヶ月(強制的な公開時期)経過後に審査請求をします。
そうすれば、出願より前の、自分の発明の実施を制限する発明についての出願の有無を確認することができます。
一般の方は、こういう制度について違和感を持つことが多いと思います。
それは、特許制度の意味を勘違いしているからです。
一般には、特許制度は「発明者を守る」ことが目的だ、と思われています。
しかし、「発明者を守る」ことは、実は手段でしかないのです。
どういう「目的」のための手段なのか。
一定の期間発明者を保護することにより、新たに発明された技術を公開してもらうことが、特許制度の目的です。
企業等が発明をブラックボックスに秘匿して、ノウハウとして使っていると、発明が公開されず、重複研究や重複投資が行われ、技術の進歩が効率よく行われなくなります。
しかし、無償で公開させれば、すぐに模倣されてしまい、研究開発に費やした投資を回収できません。
そこで、発明公開の代償として、国家が独占排他権である特許権を付与するのです。
基礎発明が公開されるからこそ、改良発明が研究され、先行技術に対して新規性・進歩性があれば、改良発明も特許されます。
ただ、基礎発明の特許権者から許諾を得るなどしなければ、製造販売等ができないというだけなのです。
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2012年3月6日火曜日
変に端折ると表現が不正確になります
まず、共同通信の記事です。
【ジュネーブ共同】世界知的所有権機関(WIPO)は5日、世界の企業などによる2011年の国際特許登録の出願件数を発表し、企業別では中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)が前年比958件増の2826件で首位となり、前年首位のパナソニックは2463件で2位だった。世界全体の出願件数は同10・7%増の18万1900件で過去最高。
国別では米国が同8%増の4万8596件で首位、日本は同21%増の3万8888件で2位。WIPOは「東日本大震災の影響はない。日本は国内での特許登録から国際登録に軸足を移している」と分析した。
ZTEの出願件数は2826件、パナソニックは2463件。日本企業ではシャープ(4位)、トヨタ自動車(7位)もベストテンに入った。
国別では、米国(4万8596件)が首位を堅持。次いで日本(3万8888件)、ドイツ(1万8568件)、中国(1万6406件)の順。前年比伸び率では中国が33.4%増、日本21.0%増と、アジア勢の伸びが目立った。(2012/03/05-22:16)
共同の「2011年の国際特許登録の出願件数」と、時事の「特許協力条約(PCT)に基づく2011年の国際特許出願件数」と、同じことを違う表現で書いていますが、我々知財業界の人間が読むと、共同の表現は体が痒くなります。
ちょっと調べれば分かることだと思うのですが、共同はなぜ時事のように正確なことばで書かないのでしょうか。
不思議です。
ちなみに、「東日本大震災の影響はない。日本は国内での特許登録から国際登録に軸足を移している」と本当にWIPOのコメントがあったかどうか知りませんが(∵時事は言及していない)、このコメントもおかしいですね。
日本国内の出願件数は減少傾向にあり、日本からのPCT出願は日本国にした出願とみなされますから、「軸足を移し」たのではなく、国際出願できない出願を絞り込んできただけでしょう。
東日本大震災の影響は、PCT出願に関してはなかっただけだと思います。
弁理士 砂川惠一 sunakawa@choyo-pat.jp
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国際特許、パナソニック2位転落 震災影響なし
国別では米国が同8%増の4万8596件で首位、日本は同21%増の3万8888件で2位。WIPOは「東日本大震災の影響はない。日本は国内での特許登録から国際登録に軸足を移している」と分析した。
2012/03/05 22:58 【共同通信】
次に、時事通信の記事です。
国際特許、中国企業が首位=パナソニック2位に後退
【ジュネーブ時事】世界知的所有権機関(WIPO)が5日発表した特許協力条約(PCT)に基づく2011年の国際特許出願件数(速報値)は、中国通信機器大手の中興通信(ZTE)が企業別で1位となり、2年連続首位だった日本のパナソニックは3年ぶりに2位に後退した。総出願件数は前年比10.7%増の18万1900件と過去最高を更新した。
ZTEの出願件数は2826件、パナソニックは2463件。日本企業ではシャープ(4位)、トヨタ自動車(7位)もベストテンに入った。
国別では、米国(4万8596件)が首位を堅持。次いで日本(3万8888件)、ドイツ(1万8568件)、中国(1万6406件)の順。前年比伸び率では中国が33.4%増、日本21.0%増と、アジア勢の伸びが目立った。(2012/03/05-22:16)
共同の「2011年の国際特許登録の出願件数」と、時事の「特許協力条約(PCT)に基づく2011年の国際特許出願件数」と、同じことを違う表現で書いていますが、我々知財業界の人間が読むと、共同の表現は体が痒くなります。
ちょっと調べれば分かることだと思うのですが、共同はなぜ時事のように正確なことばで書かないのでしょうか。
不思議です。
ちなみに、「東日本大震災の影響はない。日本は国内での特許登録から国際登録に軸足を移している」と本当にWIPOのコメントがあったかどうか知りませんが(∵時事は言及していない)、このコメントもおかしいですね。
日本国内の出願件数は減少傾向にあり、日本からのPCT出願は日本国にした出願とみなされますから、「軸足を移し」たのではなく、国際出願できない出願を絞り込んできただけでしょう。
東日本大震災の影響は、PCT出願に関してはなかっただけだと思います。
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2012年2月19日日曜日
通販サイト上の商標権侵害の責任の所在
<画像は楽天市場「fujishop」より>
2月14日に知財高裁は、インターネット通販サイトで商標権の侵害があった場合、出店者だけでなく、一定の条件下で、「出店ページ」を提供・管理するウェブサイトの運営者にも法的責任が問えるとの判断を示しました。
平成22年8月31日になされた原判決では、被告サイト上の出店ページに登録された商品の販売(売買)の主体は、当該出店ページの出店者であって、一審被告はその主体ではない等として、一審原告の請求を棄却し、これに不服の一審原告が控訴を提起していました。
知財高裁判決は、
「たとえ出店者が販売に関しては所有権移転の主体であるとしても、
一審被告が楽天市場の運営者として展示、販売の場を提供しなければ、
「各商品が楽天市場で展示、販売」されることはなく、
したがって一審原告が独占的に有する登録商標の出所表示機能が害されることもなかったのである。
仮に、一審被告が楽天市場の運営者として真正品でない「各商品が楽天市場で展示、販売」をさせる各行為が、
「譲渡のための展示」又は「譲渡」行為に該当せず、
商標法2条3項の「使用」ではないとしても、
一審原告が独占的に有する本件各登録商標の登録商標の出所表示機能、
すなわち識別力を害するものであるから、商標権侵害行為である。」
と判示しました。
また、他の通販サイトとの比較から、楽天市場が禁制品の販売を差し止める機能を持たないことに故意または過失があるとも判断しました。
その上で、
「ウェブサイトを運営する一審被告としては、
商標権侵害の事実を知ったときから
8日以内という合理的期間内にこれを是正した と認めるのが相当である。
以上によれば、本件の事実関係の下では、
一審被告による「楽天市場」の運営が
一審原告の本件商標権を違法に侵害したとまでいうことはできないということになる。」
として、控訴人の請求を棄却しました。
通販システムの提供者は、「場所を貸しているだけだから、何が売られていても責任はないよ」とは言えないという判断で、模倣品の流通差し止めのためには適切な判断だと思います。
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